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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

“最強”トヨタ社長が「7カンパニー制」導入で狙うさらなる一手

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第25回】 2016年3月11日
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トヨタ自動車が4月から製品群別の7カンパニー制度を導入する。盤石となった豊田章男体制の次なる狙いとは?
Photo:中西祐介/アフロ

4月から7カンパニー制へ移行
トヨタが狙う成長路線の新機軸

 トヨタ自動車が4月から製品群別の7カンパニー制度を導入する。7つのカンパニーとは、「先進技術開発カンパニー」「トヨタコンパクトカーカンパニー」「ミッドサイズヴィークルカンパニー」「CVカンパニー」「レクサスインターナショナルCo」「パワートレーンカンパニー」「コネクティッドカンパニー」だ。従来、機能軸の組織であった技術と生産技術を先行・量産で分け、各カンパニーに振り分けて、カンパニーごとにプレジデントを置き、責任と権限を集約することになった。

 トヨタグループ内で車両の開発生産を担う車体メーカーも、各カンパニーに参画することになる。たとえばコンパクトカンパニーには、先に完全子会社となったダイハツも参画することになるだろうし、CVカンパニーには、トヨタ車体と日野自動車も噛んでくるだろう。トヨタグループのグローバル1000万台ライン時代への体制強化を覗かせる。

 一方で、「豊田家への大政奉還」と謳われた豊田章男社長の登場が2009年6月であり、章男体制8年目を迎え、長期政権下において、次を担う人材が各カンパニーのプレジデントから育成され、選ばれる可能性が出てきたと言えよう。

 トヨタにとってカンパニーの設置は、奥田体制時代に「バーチャル・ベンチャー・カンパニー(VVC)」を社内に展開し、VVCプレジデントを置いたとき以来である。ただVVCは、1997年8月に当時の奥田社長が若い世代向けの商品開発を手がけるための社内カンパニーとして展開したもので、実験的な社内カンパニー制の採用だった。

 その意味では、今回の7カンパニー体制への移行は、トヨタ及びグループ各社を巻き込んだ本格的なカンパニー制の採用と言える。豊田章男社長もこの新体制に向けて、「この組織改正は『ソリューション』でなく、『オポチュニティ』である。皆で力を合わせ、この新しい体制を『もっといいクルマづくり』と『人材育成』を促進する『オポチュニティ』にしていきたい。この組織改正を将来の正解にするのも、間違いにするのも私たち自身である」とコメントしている。

 「嵐の中の船出だった」と自ら述懐する豊田章男社長が、トヨタを率いて7年が経過するなか、同社はここにきて確実に「強いトヨタ」の歩を進めている。リーマンショック前の業績を超えて4年連続世界1を確保し、グルーバル1000万規模を狙うトヨタグループのサスティナブル・モビリティ(持続ある成長)を目標としたカンパニー体制への移行は、トヨタトップとして自信を深め、カリスマ性を持った章男社長にとって大きなステップであろう。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

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