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佐高 信の「一人一話」

ケンカしながらわかり合う
田原総一朗との不思議な関係

佐高 信 [評論家]
【第41回】 2016年3月14日
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「田原は核心を突かない安全パイだ」

 ほぼひとまわり上の田原とのつきあいは、私が20代、田原が30代のころからで、40年余りになる。出会った時、田原はテレビ東京のディレクターで、私は『VISION』という雑誌の編集者だった。途中、何度かケンカ別れをしての40余年だが、『俳句界』の2015年1月号の対談で、田原はこんな打ち明け話をしてくれた。

 「当時、僕は不倫をしてまして、実は佐高さんからもらう原稿料が、その不倫用で借りた部屋代になっていたんですよ」

 1970年代の話だが、私は政財界の黒幕的人物を探し出してきて、田原に「斬り込みインタビュー」をしてもらった。対談料が「部屋代ちょうど」だったらしい。

 「田原さんは、本当は知っているけど、知らないことを武器にして質問しますよね」

 そのころを振り返って私がこう尋ねると、「今はそうだけど、当時は本当に知らなかった。でも、その方がプロは結構面白がって喋ってくれるんですよね」と田原は応じた。

 そんな関係もあって田原は私が1977年に初めて出した本『ビジネス・エリートの意識革命』(東京布井出版、のちに『企業原論』と改題して現代教養文庫)に次のような推薦文を寄せてくれた。

 「『仮面(マスク)』と『素顔』という表現を佐高はしている。それでは、どれが佐高信の『仮面(マスク)』で、どの顔が素顔なのか?

 はじめて、佐高信に会ったときのことを思い出す。悩める、いささか年とった青年だった。その後、大勢の“悩める青年たち”がわたしのところに来た。その殆どは、もはや、悩まない。それこそ、『企業人のマスク』をつけている。佐高信の顔は、あいかわらずである。おさまらず、割り切らず、いかにもひよわそうに、しかし、したたかに『企業国家』を撃ちつづけている。

 その佐高信が、インコーナー高め、ぎりぎりの鋭いシュートボールを投げた。バッターの、いや、つい『企業人のマスク』をつけそうになっている人間たちの心臓のあたりを鋭く抉(えぐ)るシュートの重い球である」

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佐高 信 [評論家]

さたか・まこと 1945年山形県酒田市生まれ。評論家、『週刊金曜日』編集委員。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし、会社・経営者批評で一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本のについて辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(岸井成格さんとの共著、毎日新聞社)、『飲水思源 メディアの仕掛人、徳間康快』(金曜日)など。


佐高 信の「一人一話」

歴史は人によってつくられる。ときに説明しがたい人間模様、ふとした人の心の機微が歴史を変える。経済、政治、法律、教育、文化と幅広い分野にわたって、評論活動を続けてきた佐高 信氏が、その交遊録から、歴史を彩った人々の知られざる一面に光をあてる。

「佐高 信の「一人一話」」

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