今年に入り、有名人のビッグスキャンダルが相次いでいる。それらの発端となったのは、『週刊文春』の独占スクープだ。今や「文春砲」として有名人に恐れられるその取材力は、社会情勢を左右する存在になりつつあると言っても過言ではない。彼らはなぜ、これほどまでにスクープを連発できるのか。今回、『週刊文春』の編集長に直撃取材。組織体制やポリシーなどを聞き、その「深奥」に迫った。(取材・文/有井太郎、編集協力/プレスラボ)

『週刊文春』編集長を直撃!
なぜ「文春砲」を連発できるのか

『週刊文春』編集長が明かした、<br />列島を揺るがす「文春砲」の神髄ゲス&ベッキーの不倫疑惑、甘利明元大臣の金銭授受疑惑、宮崎謙介元衆議院議員の育休不倫、そして巨人選手の野球賭博など『週刊文春』の独占スクープが止まらない。編集長に「文春砲」の神髄を聞く

「なんで週刊文春ばかりが、こんな大スクープを報じられるの? そもそもタブーはないの?」

 好感度ナンバー1タレントだったベッキーと人気バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音との不倫疑惑に始まり、甘利明元大臣の金銭授受疑惑、「育休議員」として知られた宮崎謙介元衆議院議員の不倫、そして巨人選手の野球賭博など、年初から特大スクープが続いた2016年。これらの発信源となったのは、すべて『週刊文春』だった。

 報道後、ベッキーはCM降板やタレント活動の休養に入り、甘利氏は大臣を辞任、宮崎氏は議員辞職へと追い込まれ、巨人軍の現役投手はNPBに告発された。1つのスクープが大きなうねりを起こしていったと言える。

 さらに、新年ムードを一掃させたSMAP分裂騒動においては、昨年1月に同誌が報じたジャニーズ事務所・メリー喜多川副社長の独占インタビューが重要なカギとなり、2月に覚せい剤の所持・使用で逮捕された元プロ野球選手・清原和博については、2014年の時点で週刊文春が「薬物疑惑」を報じていた。

 年明けからたった2ヵ月半で報じられたこれらのビッグニュース。発信元となった『週刊文春』のスクープは「文春砲」と呼ばれ、今や“いち週刊誌”とは言えない、日本の社会情勢を左右するほどのメディアになりつつある。

 様々な週刊誌が横並びし、さらにはインターネット上にも情報があふれる中で、なぜ『週刊文春』は大きなスクープを連発できるのか。競合他誌と比べて、取材体制や調査方法に何か秘密があるのだろうか。彼らが報じたスクープの詳細と同様に、『文春』という組織自体に興味が湧いている人も多いのではないだろうか。「おとなしくなった」と言われる日本のメディアが、ジャーナリズムを見つめ直す上でも、参考になるだろう。

 そこで今回は、『週刊文春』の編集長を務める新谷学氏に、「文春砲」を連発する組織の裏側と、彼らが身上とするメディア論、ジャーナリズム論の強みを聞いた(残念ながら撮影はNGとのことで、新谷編集長の写真は掲載できないので、読者諸氏にはご了承いただきたい)。