ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

『週刊文春』編集長が明かした、
列島を揺るがす「文春砲」の神髄

有井太郎
2016年3月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3
nextpage

 ネタの提出者に「カキ」を任せること、そしてスタッフの適性や現状を把握し、ネタごとにチーム編成をすること。これらは、新谷氏が編集長になる2012年4月より前から行われてきた体制であり、「週刊文春の肝」だという。

 このような体制が、スクープ連発につながっていると考えるのは不自然ではないだろう。たとえば甘利氏の報道に関して、新谷氏はその過程をこう語る。

 「昨年2月に『金銭授受をしている“らしい”』という情報が入ってから、リサーチを始めました。現金を渡したとされる人物(注:一色武氏)にたどり着いてから、取材交渉を何度も何度も粘り強く行い、その後、入念に裏取りをして記事掲載に至った形です」

 また、2月18日発売号では、神戸連続児童殺傷事件の「元少年A」を直撃した模様を掲載した。これも、編集部が約250日にわたり人物の特定と追跡を行ったという。記者が直撃するまで、元少年Aは自分が追跡されていることに気づかず、最初は動揺の色を見せた。そしてその後、記者に激昂し「命がけで来てんだろ?」と威嚇しながら、約1kmにわたって記者を追い回した詳細が載っている(この記事の掲載判断については後述する)。

 『週刊文春』の記者の取材姿勢について、先日、東国原英夫氏は「宮崎県知事時代に、女性記者からハニートラップを仕掛けられた」とコメントした。この件に対し、新谷氏は「そのような手法をとった事実は一切ない」ときっぱり否定した。編集部記者からも、直々に東国原氏に抗議している。

 「ハニートラップはもちろん、調査の際に探偵を雇ったり、情報をお金で買ったりすることもありません。お金目的でネタを売り込む相手は値段をつり上げるために嘘をつくこともある。ネタ元がどういう目的で売り込んでいるのか、見極めることが大事です」

タブーを恐れない姿勢が特ダネを生む
何より編集部に対する「信頼」が強い

 その一方で、記者が粘り強く取材できる理由を「タブーを恐れないことへの編集部に対する信頼ではないか」と新谷氏は考える。

 「昔に比べて、明らかにメディアのアンタッチャブルゾーンは拡大しています。他のメディアでは、記者が一生懸命調べたネタでも、『これは載せられない』というケースもある。ただ、文春はタブーを恐れず、限りなくゼロに近づけることが目標。取材する記者も『きちんと裏付けを取れば、ウチの媒体なら掲載できる』という信頼を持っているので、粘り強く取材できるのではないでしょうか。あと大切なのは、1人1人の記者が週刊文春の看板に誇りを持っていることだと思います。恥ずかしい記事は出せないということです」

 もちろん、記者の情報収集とは別に「タレコミ」で得たスクープもある。それらは、数あるメディアの中から情報提供者が「文春を選んでいる」と言えるだろう。たとえば週刊文春では、2014年より「文春リークス」という情報提供サイトを立ち上げている。詳細は明かせないとのことだが、「最近のスクープの中にも、文春リークス経由のものがある」と新谷氏は言う。

previous page
3
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


News&Analysis

刻々と動く、国内外の経済動向・業界情報・政治や時事など、注目のテーマを徹底取材し、独自に分析。内外のネットワークを駆使し、「今」を伝えるニュース&解説コーナー。

「News&Analysis」

⇒バックナンバー一覧