紙の新聞の部数減、慰安婦報道への批判という逆風下で2014年、朝日新聞社の社長に就任した渡辺氏。今後の経営戦略や報道への姿勢を尋ねた。

ジャーナリズムは朝日新聞の柱、慰安婦報道でも萎縮はしないPhoto by Satoru Okada

──現状で2700億円規模の売上高を2020年度に3000億円とする中期経営計画を年初に発表しました。具体的にどのような手だてを取りますか。

「朝日新聞」の販売部数は現時点で660万部程度。新聞全体の部数が減る中、朝日は年間2%減のトレンドで維持したい。若い読者を獲得するため、35歳以下の社員のチームで新たな情報発信やサービスを考えています。新聞広告も減少傾向ですが、例えばイベント開催などで広告主の企業価値向上につながる機会を提供することも、広告の一環と考えて強化します。

 不動産事業は20年度に売上高200億円、営業利益率30%を目指します。建て替え時期に入る所有物件があり、ポテンシャルを見て効果的な展開を検討します。東京本社ビルや有楽町マリオンの建て替えは、現時点で考えていません。

──中計で掲げた企業理念は「みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」。05年の「ジャーナリスト宣言。」と比べ後退したように感じられ、社内にも同様の受け止め方があります。