闇株新聞[2018年]

マイナス金利下で買ってよい商品、悪い商品とは?
Jリートは利回り次第で割高感も。劣後債は…?
“闇株新聞”流のマイナス金利時代の投資戦略(2)

2016年3月15日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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 日銀が史上初のマイナス金利を導入してから1カ月が経ちました。「闇株新聞」では当初からこの施策が「日銀の当座預金残高259兆円のうちわずか10兆円のみに適用される誇大発表」であると報じてきましたが、金利低下効果は絶大で短期金融市場全体をマイナス金利にしてしまいました。相場は結果が全て。現実がマイナス金利であればそれに則した投資戦略をとる必要があります。あぶり出される資金はこれからどこへ向かうのか!? 市場をつぶさに観察し続ける刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が考察します。

平均配当金利回り3.28%のREITは買われ過ぎ
不動産そのものはまだマイナス金利バブル4合目

 前回の本連載「マイナス金利で株価が上がりやすい銘柄とは?配当利回り3%以上と自社株買に注目せよ」で、「株式投資のあらゆるリスクを考えても、配当利回りが3%以上ある企業への投資は理にかなっているような気がする」と述べましたが、先週末3月11日時点で平均分配金利回りが3.28%あるREITの場合は少し事情が異なります。

 REITは株式と同様に売買できる金融商品ですが、レバレッジをかけ不動産に投資しているもので、単純な株式投資よりさらにリスクが大きいのです。全体的に考えて現状で平均利回りが3.28%ならすでに「買われ過ぎ」と判断すべき。ここからは手を出すべきではないでしょう。

 これは不動産全体が「買われ過ぎ」という意味ではありません。都心中心部の不動産(ビル)でも特殊な新築物件を除けば、利回りはもっと高いはずです。REITは恐らくわざわざ割高な物件を選んで取得しているなど、外部からはうかがい知れない要因が重なっているからだと推察します。

 不動産全体がバブルなのかというと「すでにバブルではあるが、これからマイナス金利バブルがさらに進む」と考えます。現状はバブルの4合目あたりと見ています。

邦銀は収益・財務基盤が格段に向上しているが
個人向け劣後債はリスクに見合った利回りがない

 銀行が発行する劣後債では、配当支払が一般債権に劣後するだけでなく、銀行の財務状況が一定基準を下回れば元本が目減りするものが目立ちます。最近話題になったドイツバンクのCoCo債(偶発転換社債)も同じようなものです。

 本誌はこういう債券は(CoCo債に限らず劣後債全般は)、手を出すべきではないと考えます。リスクに比べて配当が十分ではなく、ひとたび問題が起こると流動性が消滅してしまうからです。とくに欧州の銀行はこれから収益基盤も財務基盤も危ういため、リスクはかなり高めです。

 こういった劣後債は日本の銀行も発行していますが、日本の銀行(とくにメガバンク3行)は収益や財務基盤は一昔前に比べて格段に向上しており、その経営基盤が揺らぐことは相当期間にわたってありません。最近のマイナス金利で収益が多少落ちているとはいえ実際にはたいしたことではありません。

 つまり日本のメガバンクに限るなら、こういう特約付き劣後債でもその内容と利回りをよく見比べるなら、(積極的には賛成しませんが)検討の余地はあるかもしれません。

 3月3日に払い込まれた三菱UFJフィナンシャル・グループの任意償還条項付無担保永久債券(債務免除特約付および劣後特約付)は、機関投資家向けに3000億円発行されました。2026年までの利率が1.94%、その後は6ヶ月円LIBORプラス1.8%となっています。

 「永久債」にしているのは自己資本算入を続けられるからで、実質的には2026年時点で三菱UFJフィナンシャル・グループの信用状況がそれほど悪化していなければ償還されます。そこで償還されない可能性など、各特約のリスクを考えても、ぎりぎり「投資してもよい」と考えます。

 ただ同時に2000億円発行発行された個人投資家向けの2026年償還の劣後債(実質破綻時免除特約付)は、その利率が2021年まで0.35%、それ以降は5年物円スワップレートプラス0.45%(たぶん2021年に途中償還されるはず)となっています。

 三菱UFJフィナンシャル・グループが2026年までに実質破綻状態になる可能性はありませんが、それでもリスクと利回りが全く見合っておらず個人投資家に販売すべきものではありません。10年の定期預金金利でも0.025%しかないので、よく説明もせず「利息が20倍近いですよ」と乗り換えさせているのでしょう。

 大変に皮肉なことですが、このように大変に安直に自己資本の拡充ができてしまうので日本のメガバンクの信用や財務基盤を安定させることにもなり、これはマイナス金利の「銀行に対してだけの恩恵」となります。

 メガバンク以外の銀行でも今後、同様の劣後債が個人向けに急増するような気がしています。実質破綻となる可能性が強いわけではありませんが、やはり大変に問題のある姿勢だと考えます。

 マイナス金利は史上初の金融政策であり、誰も経験したことがありません。このような状況下でいかなる投資が有効かは「こうなるはず」と頭で考えてはいけません。市場を隅から隅まで見渡し、今起こりつつある事象をありのままに捉え「なぜそうなっているのか」「これからどうなるのか」を真摯に考える必要があります。金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」ではこれから為替リスクを含めた海外リスクについても本腰を据えた記事を準備中です。足元では昨年までの本邦機関投資家による「狂ったような」海外投資が復活しており、編集部はそちらにも目を光らせています。ここからの難しい相場を乗り切るためのセカンドオピニオンとして、是非本紙のご購読もご検討ください。

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