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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

宇宙開発への希望は、地銀がつなぐ?
「現実主義」の銀行が、「夢」に投資したワケ

――地方から東京、そして宇宙へ

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第21回】 2010年7月20日
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 6月13日に7年の旅を終えて地球に帰還した「はやぶさ」の話題は、閉塞感漂ういまの時代にあって、私たちに夢や希望を与えてくれました。あれから約1ヵ月後の7月16日、はやぶさの後継機「はやぶさ2(仮称)」の開発研究の妥当性を審議する文部科学省宇宙開発委員会推進部会において、開発に約164億円(機体開発費148億円、運用経費16億円)が必要との試算が示されました。

 機体開発費については、「はやぶさ」の約127億円を上回ることになりますが、その理由として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、信頼性の向上や新しい装置の追加、原材料価格の上昇などを挙げています。私たちに夢を与えてくれた「はやぶさ」ですが、現実的には「夢=プライスレス」とは行かないようです。

 日頃、学生たちと話をして感じることですが、私の学生時代よりも「夢と現実との距離」が短くなったような気がします。言い換えるなら、「壮大な夢」を描く前にまず「現実」を見てしまい、「夢が現実的になっている=夢が夢でない」という感じがするのです。

 物心がついた頃には、携帯電話もスペースシャトルも既に現実のモノとして存在していたいまの学生たちにとっては、夢を描くこと自体が難しくなっているのかもしれません。しかし一方で、私たち大人たちが、若者に夢を与えられていないことも大きな問題だとも思います。

地銀が注目する
宇宙ビジネスの可能性

 7月14日に日本宇宙フォーラム(JSF:宇宙の開発に係る科学技術の振興を目的に調査研究を行なう財団法人)と、横浜銀行/広島銀行/伊予銀行(愛媛県)/山陰合同銀行(島根県)の地銀4行が、「連携協力に関する協定書」を締結しました。民間金融機関とJSFとの提携は日本初とのことです。

 このニュースは、メディアではそれほど大きく取り上げられませんでしたが、「宇宙と地方」「夢ある宇宙開発と現実主義の銀行」という異質なもの同士の組み合わせに、私は興味が湧きました。

 この協定の狙いとしては、

・国および宇宙航空技術を有するメーカーと各地域の企業との間で、共同研究や宇宙利用を促進する
・宇宙航空技術と民間企業が有する技術を融合し、新たなビジネスを開拓する

ことなどが挙げられており、JSFと地銀4行はコーディネーターとしての役割を担うことになります。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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