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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

「技術輸出」よりも、「人材輸出」?
日本の「人的資源」が途上国の教育とビジネスを変える

――バングラデシュ発 現地レポート【後編】

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第30回】 2010年11月30日
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 バングラデシュと聞いて、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべますか? 企業や行政の方からは、「インドはイメージできるが、バングラデシュは、全くイメージできない」という話をよく聞きます。

 一方、JETROダッカ事務所が2007年8月にダッカ市内の国立・私立大学で実施したアンケート調査によれば、バングラデシュの学生にとって、「日本は最も好感が持てる外国であり、かつ最重要国である」という結果が出ています。このことは、学生に限った話ではなく、私が現地で会ったバングラデシュ人の企業家も口々に、「日本は同じアジアの先進国として尊敬でき、われわれが求める、(洪水を防ぐ)土木技術や、優れた環境技術を有することから、今後最も重要なパートナーになるであろう」と話をしてくれました。

 日本国内では、自虐的な悲観論が蔓延し、国民もかなり自信喪失気味ですが、バングラデシュの人々が日本をこのように評価し、かつ期待もしてくれていることに対し、逆に元気をもらった気がしました。信頼を得ることで良好なリレーションシップが構築でき、期待されることで潜在的な能力を発揮できる、そんなことを考えれば、今後バングラデシュは、日本にとって確かに重要なパートナーになり得るはずです。

アドバンテージを
生かしきれていない日本

 ビジネスにおけるバングラデシュの魅力を考えたとき、安価で豊富な労働力という部分に目が向きがちです。確かに、第二の中国を模索する動きの中で、バングラデシュはいま、世界から注目を集めています。

 しかし、前回でも書いた通り、バングラデシュは過去5年間(2004年から2008年)平均6.2%の経済成長を遂げ、ゴールドマン・サックス社が、BRICsに続く、新興経済国「ネクスト11」の1つにあげる等、経済的成長が期待されている国です。現在、世界第7位の1億6000万人の人口を抱え、今後も人口が増え続けるこの国には、労働力のみならず、経済成長や国の発展に伴い、新たなマーケットが生まれる可能性をも秘めているのです。

【図1】日本とバングラデシュの人口推移予想(中位予想)
出典:Population Division of the Department of Economic and Social Affairs of the United Nations Secretariat, World Population Prospects: The 2008 Revision より筆者作成

 このように可能性のある国ながら、今回、私がおこなったバングラデシュ投資委員会(BOI)へのヒアリング調査によれば、1971年以降2010年9月までの日本からの直接投資は、100%出資・合弁を合わせて計191社の12億ドル(約1020億円)にとどまっています。また、バングラデシュの対日本輸出額は2億300万ドル(約173億円)にとどまり(第13位)、日本からの輸入額も第4位の10億1500万ドル(約863億円)で、これは、第1位の中国からの輸入額34億5100万ドル(約2933億円)の3分の1にも満たない規模です(2008年~2009年)。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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