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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

「途上国」=「支援対象国」なのか?
援助から協働へ。ビジネスで貧困問題を解決する

――バングラデシュ発 現地レポート【前編】

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第29回】 2010年11月9日
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 名古屋で開催されていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、生態系保全目標を定めた「愛知ターゲット」と、生物資源の利用による利益配分の枠組みを定めた「名古屋議定書」を採択し、閉幕しました。昨年、コペンハーゲン(デンマーク)で開催された、気候変動枠組み締約国会議(COP15)が、大きな期待を集めながらも、国際的な合意が得られなかったことを考えれば、この結果は前向きに評価してもよいと思います。

 しかし、前回も書いた通り、国際的な環境問題の議論が、ビジネスに代表される経済問題を背景にした「先進国」vs「途上国、新興国」という図式である以上、今後も利害の対立が続くことは否めません。今回のCOP10で日本政府は、難航する協議の行き詰まり打開策として、開発途上国の生物多様性保全に対する新たな資金支援を示すなど、「援助」という方法で対応しようとしています。

 しかし、途上国の問題は「援助」だけで解決することはできないのです。

 10月29日から11月2日の5日間、私はバングラデシュを訪問してきました。バングラデシュ訪問は、今年の3月に続き2度目でしたが、前回は、立教大学のプロジェクトで提携関係にあるグラミン銀行や世界最大のNGOと言われるBRACなど「非営利セクターとの面談」が主目的だったのに対し、今回は「ビジネスセクターとの面談」が目的でした。

 バングラデシュと聞くと、「アジア最大の貧困国」という枕詞や、2006年に貧困層向けに無担保、少額の融資(マイクロクレジット)を行ない、ノーベル平和賞を受賞した「グラミン銀行」「ムハマド・ユヌス総裁」などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。このようなイメージから、われわれはとかく「バングラデシュ=途上国=支援対象国」として捉えがちです。

 しかし、バングラデシュは過去5年間(2004年から2008年)平均6.2%の経済成長を遂げており、2008年の実質経済成長率5.64%は、インドの5.68%に次ぎ世界21位にランクされるものです。また、ゴールドマン・サックス社が、BRICsに続く、新興経済国「ネクスト11」の1つにあげるなど、バングラデシュは今後も経済的成長が見込まれている国なのです。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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