機内に持ち込む「エアーファイル」に
私が忍ばせた“とっておきの資料”

 ここで、一流のリーダーたちが、長時間フライトの機内でどのように過ごしているのかがわかるエピソードをご紹介しましょう。

 これは、当時秘書であった私と上司との間のやりとりです。

 上司がイギリスで開催される国際学会へ参加するために、空港へ向かう直前に交わされた会話です。

上司:「今回のAir File(エアーファイル)は、ずいぶん分厚いね。」

私:「はい、重くなってしまって申し訳ありません。もしも必要でないものがありましたら、現地で秘書の方にお願いして処分してもらってくださいね」

上司:「ああ、わかったよ。(ファイルの中身を見ながら)機内での時間が楽しみだ。ボクの頭脳を喜ばせてくれそうだ!」

私:「だといいのですが」

上司:「寝る前のワインが美味しくなりそうだ。それでは行ってくるよ」

私:「行ってらっしゃいませ」

 やりとりのなかで登場した「Air File(エアーファイル)」とは、上司と私の間で名付けたファイルのことです。いわゆる書類を入れるクリアファイルのことで、飛行機に持ち込むため「Air File(エアーファイル)」と名前をつけたというわけです。

 この「Air File(エアーファイル)」には、国際学会に参加するために目を通しておかなければならない書類はもちろんのこと、今後目を通しておいたほうがいいと思われる書類などを揃えておきました。

 さらに、国際学会とは全く関係のない書類も多数入れておきました。それらの書類とは、日々多忙を極める上司がインスパイアされたり、ミッションに息吹や新しい風を吹き込むことができたり、意思決定が迅速にできたり、忘れていそうな案件をフォローアップできるためのものです。私が想像し得る限りの様々な書類を入れておきました。

 私が「Air File(エアーファイル)」を思いついたのは、秘書は多忙な上司の先の先まで見据え、常に先読みをしておかなければならないと思ったからです。