増え続ける外国人観光客。2003年には約521万人だった訪日外国人数が、今年は2000万人を上回る勢いだ。東京五輪を4年後に控え、これからもさらに外国人観光客への「おもてなし」環境は求められるだろう。日本に足りないものや不満点は何か。街行く外国人観光客に聞いた。(取材・文/佐々木ののか、鎌田和歌 編集協力/プレスラボ)
「あれ? こんな下町にも外国人観光客が?」
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ここ数年で、そう驚いた経験のある人は少なくないのではないだろうか。ここ10年ほど、リーマンショックのあった2009年と東日本大震災の2011年をのぞき、訪日外国人客は増え続けている。2013年には初めて年間1000万人の大台を超え、2014年は1341万人、2015年には前年比47%という脅威の伸び率で1973万人にまで達した。2016年1月と2月も前年比を上回っており、今年も過去最高を上回り、おそらく2000万人を超えるのではないだろうか。
2003年の訪日客数は521万人から、十数年で4倍にまで急増。円安が続く限り、この傾向は続きそうだ。2020年には東京五輪も控えていることから、外国人観光客への対応は今後さらに課題となるだろう。
空港や百貨店にイスラム教徒のための礼拝スペースが設けられたり、駅構内や商業施設で多国語表示が増えるなど、すでにさまざまな取り組みが始まっている。地域の商店街が多国語のガイドマップをつくる動きも多い。迎える側も試行錯誤で外国人観光客のニーズに応えようとしている。
それでは、当の外国人観光客にとって、日本の「おもてなし」はどう見えているのだろうか。実際の反応を探ってみた。
通信環境と英語力が二大課題
WiFiは鉄道・駅でとくに不満
総務省と観光庁が今年1月に発表した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」によれば、「旅行中困ったこと」(複数回答)の結果は「無料公衆無線LAN環境」(46.6%)で、「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない(英語が通じない等)」(35.7%)、「多言語表示(観光案内板等)」(20.2%)、「多言語地図、パンフレットの入手場所が少ない」(18.8%)、「割引チケット、企画乗車券の情報の入手」(14.9%)、「公共交通の利用方法(乗換方法を含む)」(14.8%)が続いた。
「無料公衆無線LAN環境」について、使えない場所として不満が多かったのは鉄道(駅構内)。空港やホテルでの満足度は高かったが、鉄道や商業施設のほか、観光案内所、観光スポットでの満足度は低く、改善の余地がありそうだ。