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トンデモ人事部が会社を壊す

バブル入社組は、なぜ「使えない」と言われるのか

山口 博
【第41回】 2016年3月22日
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「リスクが怖いから何もしません」が
企業の“常識化”していないか

 「アクションするということは、リスクが生じるということです」「従って、アクションしてはいけません」「そのリスクの大きさたるや、あなただけで負えるものではないのです」「ですから、何もやらないことが良いことなのです」――。これは、私が最近、ある企業の部門長から直に聞いた発言だ。読者のみなさんは、トンデモ人事部か、保守的な管理部門の事例だと思ったに違いない。しかしこの発言は、人事部でも管理部門でもない。なんと、営業支援部門の部門長の発言なのである。

「リスクが大きいから、広報活動はすべきでない」と広報部長が言うような会社を、あなたはどう思うだろうか?

 思わず耳を疑い、その部門長を二度見してしまったが、それ以来、営業支援部門におけるトンデモ事態に次々と直面するようになってしまった。未だに忘れられない、最も強烈な出来事が、“ABCカタカナジャパン事件”だ。

 外資系日本法人ABC社の正式な社名表記は、アルファベット表記のABC Japanである。あるとき同社が日刊紙の取材を受けて、記事になることになった。日刊紙は、「Japan」は「ジャパン」とカタカナで表記するという編集基準に則り、ABCジャパンと表記した記事を掲載した。これが大事件の発端だ。

ABCジャパン「当社はABCジャパンではない。ABC Japanに訂正してくれ」
日刊紙「Japanはジャパンとカタカナ表記する日刊紙の編集基準だ」
ABC「訂正しないとは、どういうことだ!」
日刊紙「これは広告ではない。純粋な取材記事だ。編集権は当社(日刊紙)にある」
ABC「社名が異なるのだから、これは当社の記事ではない」
日刊紙「そもそも日本人の読者に対して、縦書きの紙面で、アルファベットJapanをどのように表記するというのだ」

 不毛な議論が延々と続いた。そして最後、ABCジャパン広報部長は、こう言い放った。「だから、取材などに応ずるべきではなかったのだよ。広報活動などするべきではないのだ」。

 別の企業の例は、より深刻だ。社長が営業推進部長に、1000万円のコストをかけて、販売促進のための広告を打ちたいと話した。すると営業推進部長は、「前例がありません」「規定上できません」「予算上できません」と否定語3連発で返した。社長はキレて、「私があなたと話したいことは、前例や規定や予算に照らして、できるかできないかということではない!売上を上げる方法だ!広告に代わる方法を言うならばまだわかる。それがないなら、どう広告費用を捻出するかをなぜ考えない!」と叫んだのだが、営業推進部長は、怪訝な表情をするのみであった。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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