「ロッテは日本企業なのか、韓国企業なのか」──。お家騒動が過熱していた昨夏、韓国ではこんな議論が繰り広げられていた。
昨夏といえば、日韓関係が急激に冷え込んでいた時期である。韓国国民の反日感情が、日韓の国境をまたいだ兄弟げんかに飛び火し、ロッテの“国籍論”に発展した。
そもそも、なぜこんな議論が噴出したのか。理由は、ロッテの資本構造の不透明さにある。
日本事業を統括するロッテホールディングス(HD)や韓国事業を統括するホテルロッテは未上場であるため、資本構造の詳細が開示されていないのである。
また、「役員クラスでも把握できていない」(元ロッテ幹部)というほど、資本構造は複雑怪奇。それ故、日韓両国での報道が過熱し、臆測が飛び交った。
では、実際にはロッテの資本構造はどうなっているのか。本誌は関係者への取材を基に、その複雑な構造を解き明かした。
上図を見てほしい。端的に言えば、事業規模の小さな「日本ロッテ」が日本の14倍強を稼ぐ「韓国ロッテ」を“間接的”に支配しているということである。からくりは、こうだ。