北区と言えば、梅田を擁する大阪市北区の方が有名だが、東京の北区にも赤羽、王子、田端、十条など、老舗の伝統を持つ街が少なくない。

 区名の由来は、東京の北に位置するから。「安易に過ぎる」という声も聞こえてきそうだが、そう簡単に決まったわけでもない。「飛鳥山区」「城北区」「京北区」「赤羽区」などの候補が浮かんでは消え、浮かんでは消え、結局、「シンプル・イズ・ベスト」とばかりに「北区」に落ち着いたようだ。

とにかく区名が目立たない?
高齢化も相俟って、悩み多き北区

北区――少子高齢化と人口減少に悩む街が模索する「感性都市」の未来図

 北区の特徴として、まず第一に挙げるべきは、高齢化の進展である。65歳以上の老年人口比率は24.6%で、23区中最も高い。老年人口だけではない。50歳以上の「F3層」もトップ。「M3層」は第2位。逆に、働き盛りの「F2層」「M2層」(35~49歳)は、共に23区中最下位である。

 このため死亡率は、23区中第2位、出生率は21位、自然増加率は台東区に次ぐワースト2位。さらに、区外からの転入者が多い台東区と比べ、北区は社会増もさほど多くない。

 国勢調査による北区の人口は、1965年の45万2000人から2010年(東京都の推計人口)には33万4000人へと約12万人も減少している。この減少数は23区中最大であり、まさに「少子化、高齢化、人口減少」が深刻である。

 では、「働く場所」としてはどうだろうか。事業所数は20位、従業者数19位、完全失業率は8.2%とワーストワン。一世帯当たりの所得も足立区に次いで低い。