
中国の少子化が深刻だ。「一人っ子政策」は2015年に廃止したものの、出生数の減少に歯止めがかからず、この10年でほぼ半減した。幼稚園の閉園ラッシュが相次ぎ、乳幼児向けビジネスを手掛ける企業は、ペットや介護市場へと活路を見いだしている。労働力人口の急減や消費市場の縮小など、少子高齢化に伴う国力の大幅な低下が懸念されており、中国は「人口大国」としての優位性を失いつつある。(山田コンサルティンググループ中国現地法人総経理 平井孝明)
中国の人口減少は3年連続
出生数はここ10年で4~5割減
中国の少子化が止まらない。中国国家統計局が年始に発表した2024年末の総人口は14億828万人で、前年から139万人減少した。マイナスは3年連続だ。
24年は出産に“縁起が良い”とされる辰年で、出生数は前年比52万人増の954万人と8年ぶりにプラスへと転じたものの、出生数の減少トレンドに歯止めがかからない。
中国の出生数は1995年ごろまで年間2000万人ほどだった。それが2000年代に入り1600万~1800万人にまで落ち込み、10年以降は若干盛り返したものの、18年以降は急速に減少に向かっている(下図参照)。日本も出生数の減少は大きな社会問題となっているが、中国の減少スピードは日本の比ではない。しかも今後さらに中国の出生数は減少するとみられている。
ここ10年で中国の出生数は4~5割減少しており、社会や経済、企業に与える影響は甚大だ。単純な計算をすれば分かることだが、6年後には小学校の入学者数は約半減する。20年後には新社会人として就職する人数も半減することになる。
次ページでは、少子化の原因と、人口大国としての優位性を失いつつある中国の現状を解説しよう。