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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

日本ペイントの塗料が欧州車に初採用された理由

田堂哲志・日本ペイントホールディングス社長に聞く

週刊ダイヤモンド編集部
2016年3月29日
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今、塗料の世界で大きな地殻変動が起きている。2016年3月期の連結売上高が2605億円(前年同期)から5300億円へ倍増する日本ペイントホールディングスは、同3700億円の関西ペイントを抜き、世界4位に躍り出る。15年4月、日本ペイントHDの体質改善を引き継いだ田堂哲志社長は、元は旧日本ペイントの子会社に中途入社した人物だが、トップになった。さらには、グループ全体を統括する持ち株会社でも、トップに上り詰めた。田堂社長に問題意識を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――2016年1月、日本ペイントHDは、08年に中国で自動車用塗料の販売会社を共同設立するなど関係が深かったドイツのボリグ&ケンパーを完全子会社化しました。13年に同社に出資して以来、数年かけて段階的に持ち株比率を引き上げてきましたが、その狙いは何だったのですか。

たどう・てつし
1952年、広島県生まれ。同志社大学経済学部を卒業後、医療機器専門商社、外資系船舶用エンジンメーカーを経て、83年に日本ペイントの子会社だった日本ビー・ケミカル(現日本ペイント・オートモーティブコーティングス)に中途入社し、一貫して営業畑を歩む。2006年に取締役兼執行役員となり、07年には北米の現地子会社を立て直す。09年に日本ビー・ケミカルの社長に就任し、13年には親会社の日本ペイント取締役兼上席執行役員も兼務する。14年10月の持ち株会社制への移行を経て、15年4月にグループ全体を4つの事業会社に束ね直す新体制の発足と同時に、代表取締役社長に就任する Photo by Satoru Oka/REAL Photography

 やはり、世界で戦えるだけの総合塗料メーカーになるためには、欧州大陸にしっかりとした足掛かり(拠点)を作りたかったということです。

 例えば、世界の自動車の総生産台数では、日系の自動車メーカーを全部合わせても約23%に過ぎません。残りの約77%は、実質的に欧米の塗料メーカーが押さえているのです。今後も、日系の自動車メーカーの仕事が中心であることは変わりませんが、自分たちが対象とする、もしくは対象にできる可能性のあるマーケットであれば、打って出ていきたいという思いがありました。

 数年かけて、ボリグ&ケンパーの持ち株比率を39%→51%→100%と段階的に上げていった事情は、欧州のマーケットやビジネスの進め方などについて少しずつ理解を深めていこうと考えたからです。長い歴史のある欧州では、日本人が「資本の論理」を振りかざしても、物事は前に進みません。端的に言えば、欧米のグローバル企業なら、いきなり100%子会社にして支配権を得ようとするでしょうが、これから実態を伴ったグローバル化を進めようと考える日本ペイントHDにとっては「着実に歩を進めたい」という狙いがあったのです。

――長らく欧州の自動車メーカーからは、世界のトップ10に入る関西ペイントと日本ペイントHDでも、「日系の自動車メーカーに強い、ほぼ日本に限られた塗料メーカー」であり、「技術力があることは知っているが、欧州からは距離が遠く、まだ地球規模の供給体制が整っていない」と見られていたそうですね。

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