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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

マイナス金利で「不動産バブル」はやって来るのか?

熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第204回】 2016年3月30日
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マイナス金利政策が始まって運用難が深刻化するなか、マネーが流入するのではないかと見られるのが不動産市場である。不動産バブルはやって来るのか

 マイナス金利政策が始まって、運用難がさらに深刻化している。あらゆる金融機関が有望視される融資先を探し回っている。その行先として浮上しているのが不動産である。

 J-REIT指数は、マイナス金利導入の決定を受けて急上昇している(図表1参照)。長期金利が低下してくると、REITのキャップレート(期待利回り)が長期金利を上回っている幅(プレミアム)がさらに拡大する。高い利回りを求めて投資マネーが不動産ファンドに流入すると、不動産ファンドが新たな物件取得を増やそうとするので、地価上昇の圧力が高まる。最近の状況は、2006~2008年のミニバブルを彷彿とさせる。当時は、この期間に公募・私募ファンドの数が一気に増えた。

 1月末に始まったマイナス金利政策を見て、次なる不動産バブルを生み出すのではないかという観測が根強くある。4年後の2020年には東京五輪が控えている。これが超低金利と相まって、次なる不動産バブルの恰好のテーマになるという見方だ。

銀行融資は常に不動産へ
マイナス金利でバブルが起きる?

 マネタリーな面から見ると、銀行経由のマネーは常に不動産市場に回りやすい。国内銀行貸出残高は、2015年末で465兆円に達する。このうち、不動産業向け(不動産ファンド、個人の貸家業を含む)は92兆円、個人の住宅ローン残高が119兆円となっている。全体の貸出残高465兆円のうち211兆円(構成比45%、ストックベース)が、商業用不動産・住宅地の開発・取得に回っているという計算になる。設備投資向け貸出のうち、不動産向け・住宅ローン向けは実に86%に達する。

 また、貸出残高が増加している分野として目立っているのが、不動産業(含む不動産ファンド、個人の貸家業向け)である(図表2参照)。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


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