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コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

クラウドを新たな韓国の特産品に!

世界市場見据え大胆な規制緩和続々

趙 章恩 [ITジャーナリスト]
【第6回】 2016年4月1日
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今年初旬、Netflixが自社サービスのクラウドへの移行を完了した。同じ時期、韓国政府は、公共機関や金融機関でのクラウド利用を解禁。昨年暮れには「クラウド発展法」を制定し、クラウドサービスを新たな“輸出品”に育てようとしている。世界のクラウド市場では、すでに巨大なプレーヤーが覇権を争う中、韓国産クラウドはどのような差別化を行っていくのだろうか。

動画配信先進国の韓国に
Netflixのインパクト

あらゆる国で場所選ばずストリーミング配信が楽しめる環境が整ってきた ※写真はイメージ pixta_21003227

 世界中に6500万人超の有料会員を持つ動画配信サービス・Netflixが2016年1月、韓国にもやって来た。サービス開始と同時に、予想以上の話題になっている。

 韓国は、1996年からテレビ番組をインターネットで再放送する動画配信先進国だ。国内にはすでに、ストリーミング配信サービスが山ほどある。しかし、それでもなおNetflixが注目を浴びたのは、「シンプルな会員登録」「シンプルな料金プラン」「広告なしですぐ始まる」という3つの理由からだ。

 Netflixと国内のストリーミング配信サービスの違いに驚いたユーザーたちはもちろん反発、奇しくも国会で動画配信事業者の広告が多すぎるという問題提起がなされていた時期だった。お金を払ってもなお、視聴前後と中間広告を合わせて、番組1本(60分)当たり5回も広告が登場する。スマートフォンで視聴する場合などは、データ通信料もばかにならない。

 このように、韓国の動画配信サービス業界に一石を投じたNetflixであるが、実はもう一つ大きな影響を与えた業界がある。クラウドサービス業界だ。

 Netflixは2016年2月、およそ7年かけて、コンテンツ提供・配信サービスを自前のデータセンタからアマゾンのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」に移行したと発表した。

 以降、同社はコンテンツ配信から顧客管理、ビッグデータ解析に至るまでのあらゆる業務をAWSで行っている。

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趙 章恩 [ITジャーナリスト]

ちょう・ちゃんうん/韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。
IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「ニューズウィーク」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。


コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国の国民生活に、ITがどれほど浸透しているか、知っている日本人は意外に少ない。ネット通販、ネットでの納税をはじめとする行政サービスの利用、公共交通機関のチケットレス化は、日本よりずいぶん歴史が古い。同時に韓国では、国民のIT活用に対する考え方が、根本的にポジティブなことや、政府が規制緩和に積極的で、IT産業を国家の一大産業にしようとする姿勢などが、IT化を後押ししていることも事実である。

一方の日本は、どうして国を挙げた大胆なIT化の推進に足並みがそろわないのか。国民生活にITが浸透している韓国の先行事例を見ながら、IT化のメリットとリスクを見極めていく。

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