民間企業が運営を受託し、集客につとめている公共図書館が増えている。図書館は明るくて楽しそうな娯楽施設に変容しているようだ。利用者は無料で小説を借りられることに最大の利点を見出していると思われる。リクエストのランキングを公表している図書館のデータを見ると、大半は小説、それもベストセラー大衆小説が並ぶ。まあ、ビジネスパーソンにとってはどうでもいいことだ。本当の図書館活用法は小説を借りることではない(文中敬称略)。

平日夜間に利用する
通勤経路上の図書館を探せ

 ビジネスパーソンにとって、図書館はどうでもいい存在かというと、そんなことはない。こんなに便利な情報の宝庫はないのだ。もちろん、図書館で利用者は原則として何をしようが自由で、大衆小説をたくさん借りたっていいのだが、ここでは「おとなの使い方」に絞ってご紹介する。

図書館の本当の活用法は小説を借りることではない

 ビジネスパーソンは、まず利用する図書館を選ばなければならない。図書館は立地自治体の在住在勤者しか使えないと思いがちだが、そうではない。利用するのはどこに住んでいようが自由だ。図書館(貸し出し)カードを作るには在住在勤が条件だが、利用は自由である。それに、通勤通学経路の図書館ならば、その旨を伝えて依頼すれば、カードを作ってくれることが多い。

 私の勤務地は東京都渋谷区で、標準的な通勤経路には千代田区と中央区が入る。これらの区立図書館でも貸し出しカードは作ってくれた。いま手元には、居住地の市立図書館、勤務地の渋谷区、経路上の中央区、千代田区立図書館のカードがある。

 居住地の図書館は、じつはもっとも使いにくい。帰宅時間ではすでに閉館しているか、間に合ったとしてもあまり時間はないだろう。通勤経路の図書館に行ったほうが長時間使えるのである。職住近接の場合は、わざわざ遠くへ行く必要はないが。週末は居住地の図書館を使えるが、おおむね小説を調達しに来る善男善女でごったがえすので、私は避ける。

 まずは平日の夜間に使いやすい公共図書館を探すべし。図書館は全国に3241(2015年)もある。20年前の1994年は2207、10年前の2004年は2825だったから、かなり増加している。公民館に併設された小規模な分館を含んでいるので、まともな図書館はもっと少ないが、それでも相当な数だ。

 中・大規模書店はなくとも、図書館はあるという自治体も多い。図書館で読書勘、選書勘を養成することができるのだ。