住宅コミュニティを中国では「小区」と呼ぶ。時々「新区」と呼ぶ場合もある。たとえば、上海の古北新区だ。
上海市長寧区の古北新区は改革・開放時代を迎えてからできた上海初の大型高級住宅街である。日本人をはじめ韓国人や台湾出身者などもこの街に住むのが好きだ。そのため、日本人村または台湾人村と呼ばれる場合もある。
構内を歩いていると、前や後ろを行く人々が日本語や英語、ドイツ語、韓国語などを話しているのが聞こえる。南方訛りの共通語をしゃべっている台湾人にもよく出会う。国際的な雰囲気が色濃く漂っており、海外からきた人々は親近感を覚える。
レストランを見ても、日本料理屋や台湾人が好む「小吃(中華風スナック)」をメニューにしている店やイタリアンレストランが多く、クリーニング店の看板にかかれている料金案内が日本語によるものであったりする。構内には英語を常用語とするインターナショナルスクールもある。
古北新区の入口の横にあるカルフールは、数百店舗をもつ同社の中国販売ネットワークの中で売り上げが一位という不動の地位を誇っている。
以前、このコラムで古北の魅力に触れたことがある。
「古北新区に住んでいると上海の人に言えば、青山、白金台、広尾に住んでいる、と聞かされた東京人のように相手は目を見張る。……古北新区が持っているリッチかつ開放的な雰囲気は、それを求めている海外から来た多くの人を虜にした。私もそのなかの一人だ。古北にある優雅な喫茶店でウィンナーコーヒーを啜りながら、ここに自分の家もほしいものだと思った。」
詳しくは「高島屋、ヤマダ電機……中国進出失敗の原因は本当に「反日」か」をご参照いただきたい。