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中国経済はハードランディングを回避できるのか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第416回】 2016年2月23日
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いくら金融緩和を行っても
中国経済への不安は解消しない

中国政府も人民銀行も危機感を強めてはいるが……

 株式や為替など金融市場の不安定な展開が続いている。わが国や欧州などの中央銀行がマイナス金利まで踏み込み懸命に対応しているものの、安定性が続かない。

 この背景には主に二つの要因がある。一つは、金融緩和策の効果の限界が見え始めていることだ。いくら中央銀行がお金を印刷して供給しても、それによって人々の先行き不安を解消することが難しくなっている。

 もう一つは、世界的な景気減速の大元の原因を解消することができないことだ。そもそも、今回の世界景気減速の引き金を引いたのは中国だ。リーマンショック以降、高成長を続けてきた中国経済は、それまでの輸出・設備投資主導の成長プロセスを維持することが難しくなっている。

 それに対し共産党政権は消費中心の経済構造に変革すべく舵を切ったものの、世界第2位で13億人余りの人口を抱える大きな経済を、1年や2年の短期間で変えることは事実上不可能だ。

 また、国内の賃金水準の上昇に伴い、高付加価値型への産業構造の変化も必要なのだが、非効率な国有企業の存在などそれを進めるにあたっての障害が多く存在する。成長率の鈍化で、過剰設備・過剰人員・過剰債務などの問題が顕在化している。

 中国経済の減速鮮明化によって、同国の輸入は前年同月比で20%近い落ち込みを示している。それは原油をはじめとする資源価格の下落や、鉱山用の機械の需要を低迷させるなど、新興国のみならず米国などの主要先進国にも大きなマイナス要因となっている。

 そうした短期的な要因に加えて、今後、中国経済の一段の成長率低下が続くと、世界経済を下押しする重大なリスク要因になる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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