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アイリスオーヤマ社長 大山健太郎

毎年1000点の新商品は「生活者の困った」から生まれる

大山健太郎 [アイリスオーヤマ社長]
【第1回】 2016年4月4日
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Photo by Yoshihisa Wada

「マーケットイン」ではなく「ユーザーイン」で考える

 アイリスオーヤマには二つの大きな信念がある。「常識にとらわれないイノベーション」と「ユーザーインのものづくり」だ。この2つの信念が毎年1000点の新商品開発を生み出す基本にある。

 当社はもともと、「プロダクトアウト」のメーカーだった。競争力のある製品や商品を生み出し、それで市場シェアを取っていく。だが世の中に好不況はつきもので、特に1973年の第1次オイルショックでは特需の後の大不況に見舞われ、79年の第2次オイルショックが追い打ちをかけた。プロダクトアウトではどうにも太刀打ちできないほど徹底的に痛めつけられた。その反省から消費者のニーズに耳を傾けて商品を作る「マーケットイン」という考え方に気づいた。

 消費者の好み(ニーズ)を探り、市場の変化に機敏に対抗策を打つ。だから80年代は消費者一人ひとりを対象とするマーケティング研究が盛んになり、「百貨店経営からブティック(専門店)経営へ」などとも言われた。しかしプロダクトアウトだろうがマーケットインだろうが、市場競争の厳しさに変わりはない。

 そうしたなかで中小企業が生きぬくには、よほどの優位な環境や技術力、経営力を備えていなければならず、大半の中小企業には望むべくもないことだった。

 アイリスオーヤマ(当時は大山ブロー工業所)も中小企業で、生き残りを必死に模索した。結論から言えば、中小企業は競争のない世界でお客さまに喜ばれる商品をつくればいいのである。競争のない世界とはつまり、潜在需要を顕在化すること。「需要創造」だ。

 では需要創造は、どのようになされるのか。これは頭で考えてもできない。そのために「常識にとらわれないイノベーション」と「ユーザーイン」という二つの信念がある。ユーザーインとはつまり、「生活者の困った」「不満」を察知し、「生活者の代弁者」としてささやかなソリューションを提供すること。それでよいのだし、それでなくてはならない。単なる「マーケットイン」より、もっと消費者のニーズに密着した発想になる。

 プラスチック製の養殖用ブイや育苗箱をつくっていた大山ブロー工業所が、現在のアイリスオーヤマへと変身した最大のきっかけは89年のクリア収納ケースの3商品の開発とヒットだった。

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大山健太郎 [アイリスオーヤマ社長]

1945年(昭和20年)大阪府生まれ、64年大阪府立布施高校卒業。同年、ガンで倒れた父親の後を継ぎ、プラスチック成型加工の大山ブロー工業所(現アイリスオーヤマ)代表に就任。71年株式会社化し、翌年宮城・大河原工場を建設。石油ショック後の経営危機を経て、81年消費財分野に進出、ホームセンター向けプラスチク製品のトップメーカーに育てた。地元、宮城では実践的な経営理論の論客として知られる。


アイリスオーヤマ社長 大山健太郎

爆発的ヒットとなった「クリア収納ケース」をはじめ、生活を便利にする商品を次々と生み出しているアイリスオーヤマには二つの大きな信念がある。「常識にとらわれないイノベーション」と「ユーザーインのものづくり」だ。総アイテム数1万6000点、毎年1000点の新商品開発を実現する開発力はどのようにして創造されているのか。またそれを支える大山健太郎社長の経営戦略、基本哲学とはどのようなものか。

「アイリスオーヤマ社長 大山健太郎」

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