2.過去最高益を更新した「賞与評価」の見直し

 ふつうの会社は、残業をした人のほうが、残業をしなかった人よりも、年収が高くなります。残業手当が払われるからです。
 武蔵野では、残業がなくなっても業績が下がらなければ、その部門には賞与を増やすようにしています。残業をする人は残業手当がもらえる分、月々の給料は上がります。

 けれど評価は低いので、賞与は少ない。一方で、残業をせずに帰った人は、給料は少なくても評価は高いので、賞与は多くなる。最終的には、後者のほうが年収は高くなります。

 かつて、月間100時間近く残業をする社員が十数人いましたが、今は残業時間が月平均36時間に減りました。

 はたして、武蔵野の業績は下がったのでしょうか?
 いいえ。ダスキン事業部、経営サポート事業部ともに、過去最高益を続けています。
 株式会社小田島組の小田島直樹社長は、「社員を犠牲にしてまで利益を上げるのはおかしい」と考え、残業を減らす努力を続けています。

【小田島組の取り組みの一例】
●社用車にGPS機能を搭載して運行を管理する
●「iPad」を作業員全員に配布し、作業を効率化する
●残業40時間以上の社員のパソコンの画像を録画して、何が不得意なのかを分析する
●各現場にネットワークカメラを設置し、事業所内の様子をチェックする

 株式会社ネクスト・ワン(輸入車レンタカー/東京都)の藤川雅資社長は、「時間の使い方」を学びたくて、「かばん持ち」をした社長です。

「私は、『この仕事はこれくらいかかりそう』と、仕事の難しさや量で所要時間を予想したり、もしくはまったく見通しを立てないで終わるまでやればいいと考えていたのですが、それでは残業はなくならない。成り行きにまかせてはいけないのですね」(藤川社長)

「この仕事はこれくらいかかる」と仕事に時間を割り振るのではなく、「この仕事は1時間で終わらせる」と時間に仕事を割り振ると、時間の使い方が上手になります。