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「景気が良くなるほど財政収支は悪化する!?
危機的な国債大国ニッポンに残された“最後の道”」
――中央大学法学部・富田俊基教授インタビュー

【第8回】 2010年7月29日
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先進国のなかでも最も巨額な国債を抱え、厳しい財政状況下にある日本。先日行われた参院選では「財政再建」、そして「消費税率の引き上げ」が争点になるかと思われたが、結局は先送りされた形だ。財政再建への危機意識が未だに充分ではないと感じられるなか、このまま財政赤字が拡大していけば、どうなってしまうのか。そして、危機的状況になる前に打つ手はあるのか。中央大学法学部の富田俊基教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

「消費税増税」は“見たくない現実”
だが、直視しなければならない

――先日行われた参院選では財政再建や消費税率の引き上げが争点になるかと思われたが、結局は先送りされてしまった印象がある。こうした状況をどう捉えているか。

とみた・としき/中央大学法学部教授。1947年生まれ。70年関西学院大学経済学部卒業。71年野村総合研究所入社。83年財政金融調査室長、84年内国経済調査室長、87年ブルッキングス研究所客員研究員として派遣、90年政策研究部長、93年政策研究センター長、96年研究理事、2005年4月から中央大学法学部教授を務める。財政学者として、歴史を通じた世界中の財政危機に関する数多くの事例を検証しながら提言を続けている。著書に『国際国家の政治経済学』『冷戦後の世界経済システム』『国債累増のつけを誰が払うのか』(すべて東洋経済新報社)などがある。

 「多くの人は見たいと欲する現実しか見えない」

 これは、塩野七生氏の著書『ローマ人の物語』のなかで何度も登場するユリウス・カエサルの有名な言葉だ。こうした人間の本質ともいえる不幸な特性を超えて、今回の選挙で我々国民は、”厳しい現実”を見なければならない状況だったと思う。

 今年度の当初予算では、新規国債発行額が約44兆円と税収の約37兆円を上回った。こうした事態は、明治維新のときと第2次世界大戦の終戦直後に次ぐ3回目の出来事だ。普通では考えられない状況を冷静に捉えれば、「増税は避けられない」という結論に至るはずである。だが、今回の参院選のような茶化した結果に終わってしまったことを非常に残念に受け止めている。

 昨年の衆議院総選挙で民主党は、まだまだ「無駄がある」「埋蔵金がたくさんある」と盛んに喧伝していた。しかし、事業仕分けを厳しく行っても無駄や埋蔵金がたくさんあるわけではなかった。無駄や非効率な支出を削減し続けなければならないのは事実だが、それだけではどうしようもないと国民の多くがこの1年間でわかったはずだ。

 国民が危機感を抱いていることは間違いない。ただ、増税には慎重である。それを変えるためには、政治のリーダーシップが必要だ。生活保護や失業給付、高齢者の年金や介護や医療などのセーフティネットを責任持って国民に供給するのと同時に、早急に財政再建を進めなければならない。

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