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理系に学ぶ。
【第2回】 2016年4月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
川村元気 [映画プロデューサー・小説家]

全部を機械にやらせるグーグル
人間の手間が必要なニコ動
【川上量生氏×川村元気氏】対談(前編)

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『告白』『悪人』『モテキ』『バケモノの子』『バクマン。』などを手がけた映画プロデューサーで、初めて書いた小説『世界から猫が消えたなら』が120万部を突破し映画化。2016年も映画『怒り』『何者』など、次々と繰り出される企画が話題を集める川村元気。その背景にあるのは「“苦手を学ぶ”ことで、人間はぎりぎり成長できる」という一貫した姿勢だという。
そんな川村元気が、話題の新刊『理系に学ぶ。』では、「文系はこれから何をしたらいいのか?」をテーマに最先端の理系人15人と、サイエンスとテクノロジーがもたらす世界の変化と未来を語っている。
本連載ではその中から5人との対談をピックアップするが、第2、3回では、カドカワ 代表取締役社長/ドワンゴ 代表取締役会長で「ニコニコ動画」の生みの親でもある川上量生さんにご登場いただく。

主体性のある人間なんていない?

川上 この対談シリーズは、どういう理由で始めたんですか?

川村 「未知との遭遇」というのが裏テーマなんです(笑)。僕は数学とか物理とかが苦手で、昔から理系コンプレックスがあって。
川上 でも、理系にあって文系にないものが論理性だとするなら、理系でも非論理的な人はいっぱいいるし、文系でもめちゃめちゃロジカルな人はいますよね。例えば、僕がドワンゴをやりながら、“見習い”として師事しているスタジオジブリのプロデューサーの鈴木敏夫さんは、文系だけどロジカルですよ。ただ、鈴木さん以外は使っていない独自の論理を組み立てている。

川村 そこは弟子の川上さんにしてもまったく同じ印象があって、理系なのでもちろんロジカルなんですが、川上さんだけの鮮やかなロジックがあるように感じます。
川上 仕事で何をモチベーションとするかってところが、鈴木さんと僕は似ているんですよね。だいたい『もののけ姫』も、鈴木さんは最初から売れる確信があったと言い張るわけですけど、本当はギャンブルだったと思うんです。あるとき、鈴木さんに「なんでもっと安全な作品を創らなかったのか」と訊ねたことがあるんですけど、「本当にヒットするかどうか、知りたかった」と。要は実験したいんですよ。そういうところは僕もすごく似ています。

川村 既定のロジックで何かを解くことには、興味がないってことですよね。
川上 解こうとも思ってないですね。そもそもすべてに関して主体的じゃないし、傍観者。鈴木さんにしても「こっちから攻めた方がいいんじゃないの」とそそのかしているだけで、実際にやっているのは宮崎駿さんなんです。

川村 ちなみに、僕も「自分でこれをやりたい」と言い出してやったことがほとんどないことに最近気がついて。映画は主体的に取り組んでいるのですが、小説やその他の仕事では、まずは誰かから「やりませんか?」と声をかけてもらって始まっているところがあります。
川上 そもそも主体性のある人間がいるのかどうかも疑問ですよね。みんな、あるふりをしているだけじゃないかな。ふりをしているうちに、自分まで騙されている。主体性があるサルとかゾウとか、いないと思うんですよ。つまり、自然界の動物には主体性がないのに、人間だけあるわけがないというか。

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川村元気 [映画プロデューサー・小説家]

1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、東宝にて『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『バケモノの子』『バクマン。』などの映画を製作。2010年米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、翌11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年には初小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞へのノミネートを受け、100万部突破の大ベストセラーとなり、佐藤健、宮﨑あおい出演で映画化された。13年には絵本『ティニー ふうせんいぬのものがたり』を発表し、同作はNHKでアニメ化され現在放送中。14年には絵本『ムーム』を発表。同作は『The Dam Keeper』で米アカデミー賞にノミネートされた、Robert Kondo&Dice Tsutsumi監督によりアニメ映画化された。同年、山田洋次・沢木耕太郎・杉本博司・倉本聰・秋元康・宮崎駿・糸井重里・篠山紀信・谷川俊太郎・鈴木敏夫・横尾忠則・坂本龍一ら12人との仕事の対話集『仕事。』が大きな反響を呼ぶ。一方で、BRUTUS誌に連載された小説第2作『億男』を発表。同作は2作連続の本屋大賞ノミネートを受け、ベストセラーとなった。近著に、ハリウッドの巨匠たちとの空想企画会議を収録した『超企画会議』などがある。

 


理系に学ぶ。

『世界から猫が消えたなら』『億男』『仕事。』で出版界に新風を吹き込む川村元気が、言葉で読み解くこれからの理系脳。最先端の理系人たちと、サイエンスとテクノロジーがもたらす世界の変化と未来を語る。
・川上量生(カドカワ 代表取締役社長/ドワンゴ 代表取締役会長)
・宮本 茂(任天堂 専務取締役 クリエイティブフェロー)
・舛田 淳(LINE 取締役 CSMO)
・西内 啓(統計家)
・出雲 充(ユーグレナ 代表取締役社長)

「理系に学ぶ。」

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