「取引先」にさえも
ビジョンは浸透する

そうした体験が、さらに驚くべき行動をお客様に起こさせました。

阪神淡路大震災のときのこと、神戸への本社移転を発表したばかりのフェリシモに、お客様から次々とお金が集まったのです。通販の代金は3000円なのに5000円、1万円というように、買い物金額以上のお金が振り込まれました。

「被災地の方々のために何かしたいが、何をすればいいかわからない。でも、フェリシモなら、何かいいことをしてくれるはず。そのためにこのお金を使ってほしい」―そんなお客様からの願いが込められたお金でした。

それ以来、世界で災害があるたびに、被災地に寄付を届けるプロジェクトがお客様から求められるようになりました。フェリシモが主導したというよりも、お客様がフェリシモを突き動かしたのです。

さらに、障がい者の方がデザインした雑貨を販売したり、途上国の人たちとバッグなどを生産して現地に雇用を生んだりと、寄付以外の取り組みも積極的に行っています。ただ素敵な商品をそろえるだけでなく、「子どもたちの未来のために何かをしたい」「社会の役に立ちたい」というお客様の気持ちに応える商品ラインナップを増やしていったのです。

こうした取り組みを続けていくうち、ついには同社の商品を納入していた取引先企業にも、変化が起こりました。

なんと、取引先企業でも、社会的意義のある商品を開発するための勉強会が独自にはじまり、フェリシモに新商品の提案をしてくるまでになったのです。

ビジョンとそれに基づく取り組みがお客様と取引先へと広がり、それがまた、「この会社なら、きっとまた社会に貢献をしてくれるはずだ」というさらなる期待につながる―そんな好循環がフェリシモからは生まれています。