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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

予約殺到の「テスラ量販EV」は
日産ゴーン社長を奮い立たせるか?

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第27回】 2016年4月8日
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予約が殺到しているモデル3の価格は日本円で約393万円  Photo:Tesla Motors

発表直後に大量の予約を受注
テスラ「新型量販EV」の凄み

 米国の電気自動車ベンチャーメーカー・テスラモーターズが、3月31日の夜(米現地時間)、新型EVの量販モデルとなる「モデル3」を発表したところ、発表後わずか3日間で27万6000台の予約受注を得たことが話題になっている。

 米テスラの新型EVセダン「モデル3」の価格は3万5000ドル(日本円で約393万円)、1回の充電で346kmの航続距離を実現。高速充電器の「スーパーチャージャー」と自動運転モードの「オートパイロット」に対応した、テスラ初の量産・量販モデルとなる。ただし発売は2017年後半で、今回スタートしたのは先行予約販売だ。日本でも預託金15万円で予約受付を開始し、「モデル3」に予約注文が殺到しているという。

 日本を含め、発表から3日間で27万6000台という受注ペースは、「誰も先行販売がこれほど多いとは思わなかった」(イーロン・マスクCEO)とテスラ本体が驚いているほどである。EV戦略では世界の自動車メーカーの中で先行してきた日産のEV「リーフ」が、発売後5年でグローバル累計販売20万台を達成したばかりであることを考えても、テスラの「モデル3」がいかに驚異的な人気かがわかる。

 テスラモーターズのイーロン・マスクCEOは、「この『モデル3』の発表イベント第二弾が開かれる時点で、予約販売は50万台に達する可能性がある」と豪語していると言う。

 テスラの新型EV「モデル3」に予約が殺到しているニュースを聞いたカルロス・ゴーン日産自動車社長は、同社のエンジン生産拠点であるいわき工場での記者会見で「それは朗報だ」と発言して余裕を示したようだが、続いてこうも語った。

 「これまで競合他社に対して否定的なことは一切言ったことはない。競争を我々は歓迎しているし、実際に発売されるのが2017年末のEVを多くの人々が前払いをして購入しようとすることは良いサイン。これは、我々の開発の助けにもなる。さらに頑張って日産EVの航続距離を伸ばし、コストを改善し、品質やデザインを向上させねば」

 今回のニュースは、EV戦略では先行していた日産にも大きな刺激を与えたようである。

 日産は、これまでEV分野のリーディングカンパニーを自負し、ゴーン社長は2010年12月に日米市場にリーフを投入以降、EVの存在感をアピールしてきた。日産ゼロ・エミッション(走行中のCO2を含む排気ガスゼロ)戦略の主柱にEVを置いてきたわけだ。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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