胃は内臓のなかでも「胃が痛い」「胃がもたれる」など自覚しやすい部位です。また「胸焼け」「吐き気」なども、胃の不調を予測させます。

 胃の役割は、まず食べた物の消化。約1.5リットルの容積があり、食物が入ると動いて食べ物を細かくします。さらに、ペプシンという消化酵素を含む胃液を分泌して、食物中のタンパク質を分解します。また、空腹時にはアルコールなどの吸収も行います。

 胃の不調にはさまざまな原因があります。

「急性胃炎」は、食べ過ぎや飲み過ぎ、細菌感染、ストレスなどにより胃の粘膜に炎症が起きて、みぞおちの部分の痛みや吐き気などを感じます。

「慢性胃炎」は、主に胃の粘膜が薄くなり、胃酸の分泌が低下します。そして、腹部の鈍痛や胸焼けなどが続きます。

「胃潰瘍」でも、腹痛や胸焼けなどを感じることがあります。慢性胃炎や胃潰瘍では「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染がかかわることも多く、その場合は治療としてはピロリ菌の除菌を行います。

「胃ガン」は、初期ははっきりした症状はありません。吐き気や胸焼けなどもありえますが、胃炎や食べ過ぎなどの症状と似ているため気づかず、胃ガン検診なで発見される場合がほとんどです。進行した胃ガンでは、腹痛や吐血、体重減少などが現れます。

「胃酸過多」は胃酸の分泌が増えすぎて、口の中に酸っぱさがあり、胸焼けや空腹時の胃痛を起こします。「低酸症」は、消化を助けている胃酸の分泌が減り、胃もたれや下痢などの症状が現れがちです。

「胃けいれん」とは、上腹部の激痛を起こす状態の総称。胃炎や胃潰瘍などに伴う痛みがほとんどで、実際に胃がけいれんするのではありません。

 胃の不調は、食欲低下や食べる楽しみの減少も加わり、心身のパワーが失われる誘因ですから、早めに適切な治療が望まれます。ただし、胃の症状は、膵臓、胆のう、腸などの症状とまぎらわしい場合があります。医療機関を受診するときは「胃が痛い」と限定せずに「ここが痛い」と部位を示すことも、受診時の誤診を予防するうえで大切です。