セミナーや講演に伺うと、手軽なサプリメントを飲んで健康改善をしようとする方たちから質問を受けることが少なくありません。しかし、結果が出ている人はどれだけいるでしょうか。サプリメントの効果を得られる人があまり多くないのは、いったいなぜなのか?今回は「サプリメントの真実」について事例を挙げながら解説いたします。
講演で必ず受ける質問
「サプリメントは何がおすすめですか?」
講演をしていると様々な質問をいただきますが、中でも特に質問の多い項目が「サプリメント」についてです。
・サプリメントは飲んだ方がよいですか?
・サプリメントはどのようなものがおすすめですか?
・○○のサプリメントを長年飲んでいますが続けても大丈夫ですか?
などなど。
飲むだけの手軽なサプリメントで栄養を補おうとしたり、ダイエットに活用したりする方はたくさんいらっしゃいますが、管理栄養士の立場からは、サプリメントではなく食べ物から栄養を摂ってほしいというのが本音です。
実際にサプリメントを飲んでも、状態が改善しない方がほとんどというのが現実です。ではなぜ結果が得られないのか。6つの事例から解説いたします。
「鉄」サプリメントを飲んでも
貧血予防の効果が出ないAさん
女性に多い「貧血」。貧血予防に鉄分の含まれたサプリメントを飲んでいる女性は少なくありません。健康診断で貧血気味と診断されたAさんもその1人。自己判断で「鉄」のサプリメントを飲み始めて1年経ちますが、症状は全く改善されないと相談を受けました。
それもそのはず。栄養素はチームで働いているものなので、「鉄」ばかり補っても血液状態はなかなかよくなりません。貧血を根本から改善するには、血液のモトとなるタンパク質や赤血球の生成を促す葉酸やビタミンB12など様々な栄養素が必要になるのです。
また鉄にも種類があり、吸収面から考えると動物性食品に多く含まれている「ヘム鉄」を選ぶことが大切ですが、あきらかに鉄不足であればドクターに「鉄剤」を処方してもらうのをおすすめします。鉄は体内で蓄積されるので、過剰に摂れば健康を害する恐れもありますので、自己判断でのサプリメントの常用はおすすめできません。