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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

熊本地震で、善意が「第二の災害」を引き起こさないために

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第155回】 2016年4月19日
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熊本地震で被災した方たちに、一般の人間ができることは何か――。写真は16日夜の熊本市役所の模様 Photo by Takeshi Yamamoto

 熊本県と大分県を襲い、大きな被害を出している今回の地震。いまも活動が止まらず、14(木)夜から18(月)午前4時までの間に、前震、本震を含めて500回を越える地震が発生している。その活動範囲もさらに拡大しているとの発表もあり、この原稿を書いている18(月)午前6時の時点でも、まだまだ予断を許さない状態だ。道路も各地で分断されているし、九州新幹線も復旧のメドが立っていない。ボランティアも受け入れていない。

 このような状況のときに、一般の人間ができることは限られている。義援金の募金と救援物資の提供だ。しかし、物資を送るには注意が必要。善意で送ったモノが被災地の混乱を招くこと、被災者にとって迷惑なことも多いからだ。これを「第二の災害」という。そこで今回は、東日本大震災のときの僕の経験も踏まえ、第二の災害を防ぐための注意点をいくつかお伝えしたいと思う。

いまだから言える
要らなかった支援物資

 まず基本的なことだが、第二の災害を生むのは「間違った善意」であるということだ。この場合の「間違った」とは、現地ニーズを把握していない、あるいは勘違いしているという意味だが、「いまだから言える『要らなかった支援物資』 - 東日本大震災【第二の災害】」というまとめサイトでは、「不要なもの一覧」として以下のものが挙げられている。ネットには他にも東日本大震災のときに送られて不要だったもの、というか(ハッキリ言って)迷惑だったものがリストアップされているが、どこの情報も概ね同じである。

以下、引用(「いまだから言える『要らなかった支援物資』 - 東日本大震災【第二の災害】」より)


◎不要なもの一覧
1、千羽鶴・応援メッセージや寄せ書き
2、成分表が読めない海外食品(アレルギー成分がわからないため)
3、冷凍食品(冷蔵庫が使えないため)
4、保存食以外の食料(缶詰・瓶詰・カップ麺も賞味期限が切れたものは不安)
5、古すぎる古着・洗濯していない毛布・布団・下着など
6、自分で食料などを確保できないボランティア


 千羽鶴や応援メッセージ、寄せ書きが「不要」「迷惑」というのは意外かもしれない。また、読者のなかには「人の善意をなんと思っているのか!」と怒る人もいることだろう。しかし、これが被災者の本音だ。もちろん、寄せ書きに勇気づけられたという声もある。しかし、千羽鶴や、大きな模造紙に子どもたちのメッセージが書き込まれた寄せ書きなど、避難所では飾る場所も貼る場所もなく、結局燃やしたという声も多い。

 このような「迷惑な善意」は千羽鶴や寄せ書きだけではない。僕が東北の避難所でよく聞いたのは、「あちこちから、いろんなNPOがやってくるけど、どいつもこいつも心のケア、心のケアってうるさいんだよ。俺たちはもう、心のケアと聞いただけで鬱になりそうになる」という声だ。もちろん僕は、心のケアや千羽鶴を否定するワケではない。ただ、心のケアや千羽鶴を被災者に届けたいと思う人たちは、避難所の人たちがそれをどのように受け取るか、想像力を働かせて提供すべきだと思う。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

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