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日本に巣食う「学歴病」の正体

中卒社長が語る「イエスマン量産教育こそ学歴病の温床」

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第15回】 2016年4月19日
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「高学歴者は仕事の能力も高い」という声が根強くあるが、それは本当なのか。日本に根付く「イエスマン量産教育」の功罪とは?

 今回は、最終学歴が中学校卒という企業経営者の話を基に、「学歴病」について考えたい。中卒という、学歴社会で大きなハンディを負う可能性のある人たちの声を聞くことで、より広い視野から「学歴」を見つめたい。

 賃貸物件の仲介・管理を手がける株式会社NYホーム(愛媛県松山市)の代表取締役・松岡秀夫氏(53歳)の最終学歴は、中卒。自ら「中卒社長」と名乗っているが、「自慢をしているわけではないし、『中卒が偉い!』とも思っていません」と語る。

 「学歴の高い人と低い人が当社の採用試験を受けて、その結果などが同じならば、高いほうの人を採用します。競争社会を勝ち抜いてきたという実績があるのだから、そのことは評価していいことだと考えています。ただし、学歴の高い人が、仕事で高い成果や実績を残すことができるのかと言えば、そうではないと思っています」

 これが、松岡氏の「採用と学歴」に関するポリシーだ。


中卒で担当役員に昇格、
紆余曲折を経て起業した経営者

 まず、松岡氏のプロフィール紹介から始めたい。

 小学校2年生の頃両親が離婚し、父親と2人で生活をする。父は病気のため、働くことができない。やむを得ず、生活保護を受給した。地元の高校に入学したが、生活が苦しく、通学を続けることができない。退学し、職人となる。

 27歳のとき、社員20人ほどの建設会社・中岡組(のちにジョー・コーポレーションに社名変更)に入社する。34歳で分譲マンション事業の担当役員となる。2006年のピーク時にはグループの年商が370億円を超え、社員は約700人になった。

 43歳で常務執行役に就任し、分譲マンションの販売業績を伸ばすが、07年に売上は240億円前後に落ち込む。08年秋のリーマンショック以降、業績は一段と悪化する。08年、45歳で子会社の代表取締役になった。降格人事だったという。09年、親会社のジョー・コーポレーションは民事再生法の適用を申請した。

 同年、47歳で現在の会社・NYホームを創業した。松山市を拠点に、主にアパート・マンションや一戸建て、店舗や事務所、駐車場などについて賃貸の仲介と管理をする。社員は現在17人。本部のほか4店舗を構える。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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