ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
戦略コンサルティング・ファームの面接攻略法
【第8回】 2016年4月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
ビクター・チェン

戦略コンサルが、
一番恐れる事態とは何か?

新米コンサルタントが犯しがちな間違いの中で、先輩コンサルタントが最も恐れる悪夢とはなんだろうか。このことは『戦略コンサルティング・ファームの面接攻略法』においても、ポイントとなっている。

 私の本棚には、アメリカの著名な起業家であるドニー・ドイチェによる印象的な題名の本、『間違いはよく犯すが、けっして迷いはしない(Often Wrong,Never in Doubt)』がある。この本のタイトルはビジネスにおける一種の哲学を表していると言えるが、戦略コンサルタントのビジネスにはこのままの表現が必ずしも当てはまらない。

 このタイトルを、戦略コンサルタントにとってより的確なものに置き換えるとすれば、次のようになる。

「往々にして正しくとも、けっして事実に基づく根拠なくして判断してはならない(Often Right,but Never Without Factual Justification)」

 コンサルティング業務では常に、言葉を慎重に選んで用いなければならない。どんな発言であれ、その正しさを裏付ける客観的な根拠が求められるからだ。ある行動を起こすべきだと提案するときには、その根拠をクライアントにきちんと説明できなければならない。

 もし、あなたがはっきりと答えられないような質問をクライアントがしてきた場合には、「その質問に答えるためには、根拠となる客観的事実を持ち合わせていません」ときっぱり伝えるべきである。また、クライアントがあなたの個人的な意見を求めてきたときには、「……はよい考えだと思いますが、まだ確実にそう言えるまでの客観的事実がありません」と明確に念を押す必要がある。

 戦略コンサルタントが発する言葉は、すべて事実によって裏付けられるものでなければならず、また、クライアントには自信を持って伝えなければならない。質問に対する答えの根拠がない場合には、「わかりません」とはっきり言うべきである。

 あまりにも保守的すぎるのではないかという意見もあるだろうが、これは重要なことだ。コンサルタントがある発言をすれば、それはコンサルタント個人の考えのみならず、コンサルティング・ファーム全体としての見解を示すことになるからである。

 仮にあなたがBCGのコンサルタントで、ある行動を取るべきだとクライアントに提案したとしよう。このとき、クライアントはあなた個人ではなく、BCGがそうすべきだと考えていると受け取るのだ。



 一流コンサルティング・ファームのパートナーにとって最大の悪夢と言える出来事は、新米のコンサルタントが口を滑らせて、まだ会社として客観的事実による裏付けを取っていない発言をしてしまうことである。これは、最終的にパートナーの顔をつぶすことになる(ちなみにパートナーにとって2番目の悪夢は、新米のコンサルタントがあまりに無能で、クライアントを怒らせてしまったときだ)。

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


ビクター・チェン

元マッキンゼーのコンサルタント。スタンフォード大学を卒業後、8つの戦略コンサルティング・ファームの面接を経て、マッキンゼー、ベイン、モニター、L.E.K.、A.T.カーニー、オリバー・ワイマンの6社からオファーを受け、マッキンゼーに入社。トップ10パーセントに位置づけられる実績を上げ、最年少で昇進、トップ・コンサルタントとして活躍すると同時に、多くの入社希望者を面接するケース・インタビュアーを務めた。現在は独立してInc.500リストに掲載される企業のCEOのアドバイザーを務める一方、コンサルティング会社への入社を目指す人々を支援する会社を経営している。世界100カ国以上の戦略コンサルタント志願者が注目するウェブサイト(www.caseinterview.com)を運営している。
 


戦略コンサルティング・ファームの面接攻略法

マッキンゼー、BCG、ベイン、A.T.カーニーといった戦略コンサルティング・ファームに就職するためには、戦略コンサルティング・ファーム独特の面接方式である「ケース・インタビュー」の対策が欠かせません。世界100カ国以上のコンサル志望者の合格請負人である著者がその秘訣を指南します。

「戦略コンサルティング・ファームの面接攻略法」

⇒バックナンバー一覧