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長内 厚のエレキの深層

がんばれ「ロボホン」!
シャープ復活の象徴は売れそうにない新製品

長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]
【第7回】 2016年4月21日
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先週シャープが発表したロボット型スマートフォン「ロボホン」。「あまり売れそうにない」という声も聞こえるが、これこそがシャープの真骨頂だ

 シャープが鴻海(ホンハイ)傘下に入ることがようやく決まった。「鴻夏恋(ホンシャーレン)」とは「鴻海とシャープ(中国語で「夏普」)の恋」という意味の中国語だが、鴻海とシャープの関係を示す言葉として使われている。

 筆者は民放の昼の情報番組に出演したときに、「シャープと鴻海はツンデレの恋愛ドラマ」と例えたが、まさに4年に渡るつかず離れずの関係に、決着がついた形だ。

 筆者は、4年前から「シャープ再建のパートナーには鴻海がベストだ」と主張してきた。両社が正反対の文化、制度、社員の個性を持つ会社であるからだ。金太郎飴のように似たような国内メインの事業展開を行ない、もれなく2000年代に入って経営不振に陥った日本の総合電機メーカーをいくら束ねても、弱者連合にしかならない。お互いが正反対のカルチャーであるからこそ、相互理解に時間がかかり、「4年物ツンデレ」が続いたわけであるが、両社は正反対であるがゆえに相互補完関係が成立すると筆者は考えている。

 その象徴的な例が、先週シャープが発表したロボット型スマートフォンの「ロボホン」だろう。売れるものを大量に効率的につくってきた鴻海からは、決して出てこない商品だろう。鴻海が生産しているソフトバンクのロボット「ペッパー(Pepper)」とは違う。ペッパーが高額で主にBtoBの製品であるのに対して、ロボホンは、通常のスマートフォンと同じBtoCのマーケット向けの商品である。

 月産5000台は、決して大きい数字ではない。むしろ、開発コスト、部材コストなどを考えると赤字なのではないだろうか。いや、ひょっとすると5000台も売れないかもしれない。

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長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]

京都大学大学院修了・博士(経済学)。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。その後、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より現職。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。組織学会評議員(広報委員会担当)、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員。(長内研究室ホームページ:www.f.waseda.jp/osanaia/

 


長内 厚のエレキの深層

グローバル競争や異業種参入が激化するなか、従来の日本型モノづくりに限界が見え始めたエレキ産業は、今まさに岐路に立たされている。同じエレキ企業であっても、ビジネスモデルの違いによって、経営面で大きな明暗が分かれるケースも見られる。日本のエレキ産業は新たな時代を生き延び、再び世界の頂点を目指すことができるのか。電機業界分析の第一人者である著者が、毎回旬のテーマを解説しながら、独自の視点から「エレキの深層」に迫る。

「長内 厚のエレキの深層」

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