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オヤジの幸福論

市場混乱時にこそ意識したい、「継続は力なり」

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]
【第52回】 2016年4月30日
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 申年の株式市場は「騒ぐ年」になると格言で言われているように、国内外の株式市場は中国の景気後退への懸念や原油安などを背景として、年初から荒れています。すでに資産運用を実践しているオヤジたちの多くは、戦々恐々としていると思います。中には、このような大きな変動性に耐えられず、早々に資産運用を止めてしまった人もいるかもしれません。比較的早期に運用を止めた人の中には、その後も続く市場の混乱を見て、「それ見たことか。あのときに資産運用を止めておいて良かった。ダメージが軽くて済んだ」と思っている人もいるでしょう。確かに資産運用を止めれば、その時点で損失は確定し、その後は不確実性がなくなります。当然、市場動向を気にする必要もなくなり、心理的負担がなくなり、仕事に集中できるとポジティブに解釈することもできます。人間誰しもが自分の取った行動に対しては肯定的に捉えたくなるものです。

 しかし、一見すると効果的に思える、このような危機時に市場から逃げる投資行動は、長期的な資産形成、特に老後のための「自分年金」形成という点で、正しい行動と言えるのでしょうか? 今回は素人も経験者も皆が悩むこのテーマについて掘り下げていきます。

誰もが資産運用を止めたくなる

 多くの投資家は、過去の延長線上に未来を見る、つまり株式相場が上昇しているときにはそれが将来も続き、逆に下落しているときはそれが将来も続く、と考えてしまう傾向があります。また多くのメディアが不安をあおるようなコメントをしているような場合、自分自身で深く考えずに、あたかもそれが真実であるかのように捉え、行動してしまう傾向もあります(ヒューリスティック)。人間にはこのようなある種のバイアスがありますから、市場の下落局面において不安から資産運用を止めてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。

 でも、バイアスに陥り、下落局面で資産運用を止めてもロクなことがないと私は思います。大きな下落の直前のベストなタイミングで資産運用を止めることは言うほど簡単なことではありません。毎日市場を見て、様々な分析ツールを駆使しているプロであっても困難なのです。得てして、ある程度下がった後で慌てて売り、損失を確定させてしまう場合が多いと思われます。一方で、私は損失を確定させることに意味がないと言っているわけではありません。目先で使う予定のあるお金をこれ以上減らしたくない短期的な投資家の場合には、損失の確定は必要です。でも、資産運用の目的がこの連載のメインテーマである「自分年金」の形成だとすれば、いずれどこかの段階で、また資産運用をしなければならないハズ。でも実は、資産運用を再開するタイミングも非常に難しいのです。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


オヤジの幸福論

年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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