50歳前後のオヤジ世代は、資産形成の観点から見ると、非常に重要かつ微妙な年代にいると言えます。なぜなら、確定拠出年金(以下、DC)資産の総額やその使い方、そして老後の資産形成に対するスタンスによって、今後の適切な行動が大きく変わってくるからです。そこで、今回は定年退職後の資産の使い方や資産形成に対するスタンス等によって、適切な行動がどのように変わるか、いくつかのタイプに分類し、見ていくことにします。

あなたはどのタイプ?

(1)DC資産があまり多くない ⇒ Yesなら[1]、Noなら次の質問[2]へ
(2)定年退職時に一括の資金ニーズがある(住宅ローンの繰上げ返済、自宅のバリアフリー化工事など) ⇒ Yesなら[2]、Noなら[3]

[1]DC資産があまり多くない場合
 日本の企業年金制度では、給付が確定している確定給付年金(以下、DB)が依然としてメインの年金で、DC資産があまり多くない人もかなりいると思います。この場合、ライフ・プランニングにあたってDC資産があまり重要でないので、何も考えずに資産を定期預金などに放置している人もいると思います。確かにDC資産があまりに少なければ、そこでの運用成績によって老後の生活が変わることもないので、面倒くさくて考えたくない気持ちはわかります。しかし一方で、「失っても生活に与える影響は限定的」という状況は、リスク許容度が高いことを意味するので、そこではリスクを取って、大きく増やすことを狙えるのです。したがって、「夢を買う」という目的で、リスクの高い運用にトライするのも一案なように思います。

[2]定年退職時に一括の資金ニーズがある場合
 定年退職時にDC口座から運用資産を一括で引き出し、住宅ローンを繰上げ返済したり、自宅を改修したりする人も比較的多いようです。この場合、リスクを取って運用すると、定年退職時に一括で引き出す直前にリーマン・ショックのような市場の大きな混乱があった際、資産が減ったところでお金を引き出すことになります。そのマイナスによって、本来なら住宅ローンを完済できていたにもかかわらず、足りなくなってしまったとなっては目も当てられません。住宅ローンの繰上げ返済でも、自宅の改修でも、一括でDC資金を使う予定があるならば、50歳以降の運用は慎重になるべきでしょう。

 ちなみに、日本のDCにおいては、8割弱の人が一括で引き出しています(2013年度)。「確定拠出年金」と言う名前の制度ですが、「確定拠出『一時金』」となっているのが現状なのです。