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熊本地震で「半導体の島」九州のリスクが浮き彫りに

週刊ダイヤモンド編集部
2016年4月25日
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 「ルネサスショックを忘れたわけではない。まだ安泰とはいえない──」

 あるトヨタ自動車関係者は、事態を楽観視する声にくぎを刺した。

 4月14日以降に発生した熊本地震は、21日時点でもなお、熊本・大分県周辺では余震活動が続いている状況だ。そんな中、被災や部品供給の停滞を理由に、生産を停止していた自動車・半導体メーカーの一部が、工場稼働に向けて動き始めた。

今回の地震では、自動車部品サプライヤーや半導体メーカーが、驚くほど九州地域に集積していることが浮き彫りになった。
photo:アフロ

 トヨタは、28日までに、全国の完成品工場で休止していた生産ライン26本のうち18本の稼働を再開させる方針だ。なお、被災地に近く、レクサスやハイブリッド車を生産しているトヨタ自動車九州(宮田工場)の再開は見送った。

 一貫して、トヨタが慎重な姿勢を崩さないのは、経験値があるからに他ならない。5年前には、ルネサスエレクトロニクスの茨城県・那珂工場が東日本大震災で被災し、汎用性半導体のマイコンが払底した。当時、大手自動車メーカーで半導体を取り合うパニックになり、トヨタグループは2000人規模の従業員を半導体工場へ送り込み、復旧作業を支援した経緯がある。

 今年に入ってからは、トヨタ傘下の愛知製鋼で爆発事故が発生、特殊鋼部品の供給が滞り、全工場をストップさせた。トヨタは、一つの部品でも欠如すると部品供給網が寸断されてしまう恐怖を、誰よりもよく分かっているのだ。

 今回の災害では、自動車メーカーの中ではトヨタだけが、生産中止の対象が全国15工場に及ぶなど、その規模が大掛かりになった。

 トヨタグループのアイシン精機が生産するドアやエンジン回りの部品供給の不足が、生産停止の主因となったことは間違いない。

 だが、ある半導体関係者は「実は、トヨタ幹部はアイシン部品のみならず、半導体不足が部品供給網のボトルネックとなることを非常に気にしている」と言う。かつてのルネサスショック再来を恐れているのである。

 それもうなずける話だ。実際に、半導体メーカー関係者は、「危機が去ったわけではない」と指摘する。

 被災したルネサスエレクトロニクス熊本川尻工場と三菱電機パワーデバイス製作所熊本工場。前者はルネサスの中で那珂工場に次ぐ主力工場で、後者はハイブリッド車や電気自動車に欠かせないパワー半導体を生産している。いずれも、車載向け半導体を生産する重要拠点なのである。

 すでに、ルネサス川尻工場は稼働再開を宣言したが、再開したとしても「後工程」を請け負うジェイデバイスの復旧はこれから。自動車用マイコンの綱渡りは続く。

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