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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第25回】 2016年6月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

「いつも70点」と「たまに100点」
本当に優秀な子はどっち?
MM理論第2命題「ハイリスク・ハイリターンの法則」

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ファイナンスについて何も知らない人でも「ハイリスク・ハイリターンの法則」については耳にしたことがあるはずだ。ファイナンスの世界で「より多くのリスク」を取るために登場するのが「負債」だ。MM理論の第2命題である「ハイリスク・ハイリターン」の考え方について、『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから紹介していこう。

「いつも70点」と「たまに100点」
――本当に優秀なのは?

まったくファイナンスを学んだことなどない人でも、「ハイリスク・ハイリターン」という言葉を聞いたことがない人はあまりいないだろう。「挑まなければ得られない(Nothing ventured, nothing gained.)」と言われるように、大きな利益を得ようとするなら、リスクをとらねばならない。これは僕たちの人生にとっても同じことが言えるだろう。

しかし本当にハイリスク・ハイリターンは正しいのだろうか?実を言うと、MM理論の第2命題はハイリスク・ハイリターンの法則を証明してみせたものなのである。

これは「リスクが高ければ、期待(平均)リターンも高くなる」といういたってシンプルな決まりだ。あまりにも有名な法則だが、本当に鵜呑みにしていいのだろうか。

たとえば、ハイリスク株Aとローリスク株Bがあるとしよう。100万円をAに投資すれば最高30%のリターンが望めるが、最悪の場合マイナスもある。Bはリスクは低いが、最高でも15%のリターンしか期待できない。「ハイリスク・ハイリターンの法則」に従えば、Aのほうが期待リターンは高くなければならない。

しかし、もし両者の「期待リターン」がともに同じ10%だったらどうだろうか?つまり、確率論的にはどちらに賭けても期待される収益が等しいのだ。

確率論的な期待リターンが変わらないのであれば、あとは好み次第。「夢を見たい」という人は株式Aを選ぶかもしれない。要するに、期待リターンが同じということは、両者の「実力」は一緒だと考えてもいいのではないかということである。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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