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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第21回】 2016年5月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

「老後の心配」商法にダマされないで!!
ファイナンス理論で「本当の価値」を見直そう

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現金はいつも僕たちの価値判断を狂わせる。ファイナンス理論に従えば圧倒的に不利であるにもかかわらず、「60歳の満期時には1000万円がもらえる生命保険です」などと言われると、つい気になってしまう人も多いのではないだろうか? 正しく価値を見抜くためのファイナンス理論の基本を『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』で押さえておこう。

投資の前に知っておきたい
ボラティリティの考え方

前回の記事では、ファイナンス理論における「ボラティリティ」の概念について確認した。

ボラティリティ(変動率の標準偏差)がわかれば、自分が投資している商品のリスクがわかる。具体的に言えば、「一定期間にどれだけ損をどれだけの確率で被るか」を事前に把握しておくことができるのである。

僕たちが知っている代表的な投資商品のボラティリティは次のとおり。

・ドル円 9%
・日経平均 26.3%
・トヨタ自動車 30%

あなたがドルに投資した場合、1年後にマイナス9%(1標準偏差)以上の損を被る確率は15%(=(100-68.27)÷2)以下である。この計算は1標準偏差から下方に外れる確率だ。

また、マイナス18%(2標準偏差)以上の損失を被る確率は2%(=(100-95.45)÷2)しかないことも事前にわかる。リスクは時間の平方根に比例するので、2年後であれば12.7%(=9%×√2)以上の損失を出す確率が15%程度になる。

2016年2月にドル円相場は120円近辺から110円まで大きく円高に振れた。変化の幅はマイナス8.4%だが、これがどれほどの異常事態だったのかも、ボラティリティから知ることができる。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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