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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第27回】 2016年6月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

「報酬は変わらず、リスクだけ低く」は実現できる?
ノーベル賞を受賞した「虫のいい話」

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「高いリターンを求めるなら、リスクも高くなる」――世の中はこの「ハイリスク・ハイリターン」の法則から逃れることはできないのだろうか?しかし、ファイナンス理論によれば、「リターンはそのままに、リスクだけを減らす方法」はたしかに存在する。一体どういうことなのだろうか?話題のファイナンス理論入門書『あれか、これか』のなかから、以降複数回にわたって紹介していこう。

ノーベル賞理論が実現した
「リスクなしでハイリターン」の夢!?

 「その事業はハイリスク・ローリターンだ。やめておけ」などという会話を聞いたことがあるはずだ。これは「失敗する可能性は高いのに、成功したとしても得るものが少ない」ということを意味している。要するに「馬鹿げた選択」の例だ。

こうした言葉の使い方からもわかるとおり、僕たちは「高いリターンを得ようとすれば、高いリスクをとらねばならない」「低いリスクしかとらなければ、わずかなリターンしか得られない」ということをよく知っている。

 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という古事成語があるくらいだから、これは古くから認識されていた真理なのだろう。

そう、世の中の常識では、ハイリスク・ハイリターンローリスク・ローリターンしかない。それ以外の組み合わせ、つまり「ハイリスク・ローリターン」は単なる愚行であり、たいていの「ローリスク・ハイリターン」は詐欺話か何かだと考えられている。

ファイナンスの世界でもこの点は変わらない。リスクとは将来の不確実性だ。この不確実性に対する見返り(リスクプレミアム)こそが金利の正体である。したがって、高いリターンを得ようと思えば、当然、それを得られる不確実性も高まるし、確実にその利益を得ることを優先すれば、一度に手に入れられるものも少なくなる。

一方、リターン(金利)というのはもう1つ別の意味――コスト(割引率)としての性格を持っている。人やモノや企業の価値は、それが生み出す将来のキャッシュフローと割引率によって算定される。

価値算定に必要なのはそれだけであり、資産がどんなお金から構成されているか(負債なのか株主資本なのか)はまったく関係がない。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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