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医療・介護 大転換

老後を安心に暮らす高齢者住宅「サ高住」はこんなに進化していた

浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]
【第53回】 2016年4月27日
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“進化”しているサ高住

 「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)が脚光を浴びている。将来の心身の不安に応えられる引っ越し先として、さらに、特別養護老人ホームに入居できない待機者の受け皿としても期待されている。

 賃貸住宅なので、有料老人ホームのような高額な一時金が不要なことも、利用者にとっては使いやすい。食事やサービスなど運営状態に不満があれば、転居も簡単にできる。

 サ高住は高齢者居住安定法によって、2011年10月から制度が始まり、4年半を経過。この間に、6130件ほどが建ち、居室数は20万室に達した。すべてトイレ完備の18平方メートル以上の個室。入居者も20万人に近い。

 認知症グループホームの利用者数を追い越しており、介護付き有料老人ホーム(介護保険の特定施設居宅介護事業所)の入居者数に迫る勢いである。特別養護老人ホーム(特養)の入居者55万人には、まだほど遠いが、いずれ特養の入居者は重度の低所得者に限定されることになりそうなので、大多数の高齢者が入居する「ケア付き住宅」の主役になるのは間違いないだろう。

 では、サ高住は従来の「ケア付き住宅」とどこが違うのか。これまでの高齢者施設と大きく異なるのは、介護サービスがどのように提供されるか、あるいは、どのような地域で運営されるかによって性格がまるっきり変わってしまうことだ。

 というのも、サ高住は原則として、ただの集合賃貸住宅に過ぎない。従って入浴や食事時間などに決まりはなく、生活は自由で、管理されない。法律では、運営者には入居者への「見守り(安否確認)」と「生活相談」が義務付けられているだけだ。介護サービスはなくてもいい。

 だが、現実的には、要介護者の入居が多いため、大半が何らかの介護サービスの提供を行っている。その介護サービスの提供方法で多種多様なサ高住が出現してくるから面白い。従来施設のように画一的でない。創意工夫が発揮できる。もうひとつ、周囲の環境がどのようなところなのかという立地次第でも、その役割が大きく変わる。

 そこで、今、注目されている各地のサ高住を読み解き、今後広がるであろう5タイプを抽出した。それぞれの特徴とその社会的役割を分析してみる。

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浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]

あさかわ・すみかず/1948年2月東京都中野区生まれ。東京都立西高校から慶應義塾大学経済学部に。1971年日本経済新聞社に入社。小売り・流通業、ファッション、家電、サービス産業などを担当。87年に月刊誌『日経トレンディ』を創刊、初代編集長を5年間勤める。93年流通経済部長、95年マルチメディア局編成部長などを経て、98年から編集委員。高齢者ケア、少子化、NPO活度などを担当。2011年2月に定年退社。同年6月に公益社団法人長寿社会文化協会常務理事に就任。66歳。

 


医療・介護 大転換

2014年4月に診療報酬が改定され、ついで6月には「地域医療・介護総合確保推進法」が成立した。これによって、我が国の「医療」「介護」大転換に向けて、第一歩が踏み出された。少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障はどう大きく変革するのか。なかなかその全貌が見えてこない、医療・介護大転換の内容を丁寧に解説していく。

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