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日本を元気にする経営学教室

ケーススタディ(前篇)「工場長の苦悩」
品質立国だった日本企業の再生
神戸大学大学院経営学研究科教授 加登 豊

遠藤 功 [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],河野宏和 [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]
【第10回】 2010年8月16日
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 今回は少し趣きをかえて、2006年に執筆した学部・大学院の授業や企業研修で過去に50回以上使用しているケース教材「工場長の苦悩」を読者の皆さんに読んでもらい、2週間後に設問に対するわたしなりの回答と、日本企業を再び品質立国とするための処方箋を示したいと思う。それまでに、個人で、また、職場の同僚と一緒にこのケースに取り組んでほしい。

 トヨタのリコール問題は、アメリカ公聴会への豊田章男社長の出席の前後で大きなニュースとして取り上げられたが、その後も、他車種での問題が生じている。品質に関して万全であったトヨタにおいて、品質問題が生じているということは、実はトヨタ1社の問題ではない。

 日本企業のほとんどが、トヨタで採用されている方法とほぼ同様の品質管理を行っているからである。極言すれば、現状のままの品質管理を行っている限り、日本企業では引き続き深刻な品質問題が発生し続けるだろう。いま行われているような対処療法をいくら繰り返しても本質的な問題解決とはならない。

 それでは、設問を先に示し、その後に、ケースを示すことにしたい。

設問

(1)ゼロディフェクト(全品良品)のための品質作り込み活動は、今後とも継続すべきか、それとも、全品良品ではなく、コストも同時に考慮して、一定割合の欠陥品の発生を許容したほうがよいか。

(2)QCサークル活動や提案制度は。これまでどおり継続すべきか、それとも、新たな方策を模索すべきか。

(3)外国人労働者にも、日本人労働者と同様の品質管理教育を行う方がよいか、それとも、単純作業従事者として作業に専念してもらった方がよいか。

(4)多品種少量生産品の製造が品質問題の原因の一つだと言われているが、現状と同様にそれらの製造を続けるか、それとも、方針を変更した方がよいか。

(5)あなたが、田中工場長だとすれば、どのような方策を講じるか。工場長として一般的な責任と権限を前提として、アクションプランを作成すること。

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遠藤 功(えんどう いさお) [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長]

1956年生れ。79年早稲田大学商学部卒業、三菱電機入社、米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。その後、米系戦略コンサルティング会社を経て、2008年から早稲田大学ビジネススクールのMBA/MOTプログラムディレクターとして、ビジネススクールの運営を統轄。また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。『MBAオペレーション戦略』『現場力を鍛える』『見える化』など著書多数。

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

河野 宏和(こうの ひろかず) [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]

1980年慶應義塾大学工学部卒業、82年同大学院工学研究科修士課程、87年博士課程修了、同年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助手、91年工学博士、91年助教授、98年教授となる。2009年10月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長、慶應義塾大学ビジネス・スクール校長を務める。1991年7月より1年間、ハーバード大学ビジネス・スクールヘ留学。IEレビュー誌編集委員長、TPM優秀賞審査委員、日本経営工学会理事。


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国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入。にもかかわらず、日本企業には閉塞感が漂う。この閉塞感を突破するにはどうしたらよいのか。著名ビジネススクールの校長・元校長で、経営学のリーダーたちが、リレー形式で、問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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