ダイハツ ムーヴ Photo:PIXTAダイハツ ムーヴ Photo:PIXTA

自動車メーカーのダイハツが行っている「地獄のAI研修」をご存じだろうか。工場の製造現場で働く社員たちが2カ月でPythonを習得、自力でシステムやアプリを作れるようになるというものだ。2カ月間本業を休んで研修だけに打ち込み、自分の職場の業務課題を設定し、実際にそれを解決できるようにするプログラムなので、普通の社内研修とは本気度が違う。そしてダイハツといえば、2023年に発覚した認証不正問題が記憶に新しい。認証試験の不正を防ぐために作業を自動化・高速化するシステムも、この研修に参加した現場社員が自力で作り上げたという。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

現場の業務課題をどう解決?社内事例を共有

 以前の記事でも紹介したとおり、ダイハツ工業では工場の製造現場で働く社員たちが一からプログラミングを学び、自らAIによるカイゼン活動を行っている。

 そうした取り組みの成果が一堂に会した社内DX活用事例共有会が、6月24日~26日、ダイハツ工業本社(大阪府池田市)で開催された。工場や現場で働く社員たちが自ら開発したソリューションがデモンストレーションとともに紹介され、切実な課題を解決する内容に、社内やグループ各社から800人以上が詰めかけた。

ダイハツ工業 京都(大山崎)工場。現場発のAI活用が進む工場の一つ。 Photo by Mayumi Sakai.ダイハツ工業 京都(大山崎)工場。現場発のAI活用が進む工場の一つ Photo by Mayumi Sakai