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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

もしトランプが大統領になったら?クリントンとの対日政策比較

週刊ダイヤモンド編集部
2016年5月6日
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知日派の専門家がズバリ解説
次期大統領の下での日米関係

次期大統領は果たしてトランプ氏かクリントン氏か。「知日派」の4人の専門家に、次期大統領の下での日米関係がどう変化するのかを詳細に解説してもらった。

トランプ氏の主張は米国民の代弁ではない
マイケル・グリーン(戦略国際問題研究所上級副所長)

マイケル・グリーン
日本の安全保障政策に精通した知日派として知られる。ジョージ・W・ブッシュ政権時に国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めた。 Photo by T.S.

 日本の読者に安心してほしいことがあります。ドナルド・トランプ氏の反日的な主張は、今日の米国の議会や財界、学界、国民の意見とはかなり異なるということです。例えば、2014年にシカゴ国際問題評議会が発表した調査結果の中で、米国人が信頼している国のランキングが登場しますが、1位はカナダ、2位英国、3位ドイツ、そして4位が日本です。

 また、米調査機関ピュー・リサーチセンターによる15年の調査結果によると、米国民の約半数が環太平洋経済連携協定(TPP)を支持し、自由貿易が国益になると答えた人は6割弱に上ります。

 そして、さまざまな調査で「日本が他国から攻撃を受けた場合、米国は日本を守るべきか」という問いに対して、多くの米国人がYESと答えています。

 ですから、トランプ氏の発言は、米国民が持つ日本への不満や怒りを代弁しているのではなく、自分の意見でしかないのです。

 過去の例をひもとくと、1976年の大統領選でジミー・カーター元大統領(任期77~81年)が在韓米軍の全面撤退を公約に掲げて勝利し、1年半くらいは約束を守ると言い続けました。しかし、国防長官や国務長官、議会が歯止めをかけて、結局その公約は実現できずに諦めることになりました。

 トランプ氏が在日米軍の撤退命令をするなんて思いませんし、仮にしたとしても、暴走には歯止めをかけられます。また、彼はカーター元大統領のように具体的な公約をしているわけではないので、日米の安保関係者はうまくハンドリングできるのではないかと思います。(談)

誰が大統領になっても外交政策は変わらない
フランク・ジャヌージ(モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団理事長)

フランク・ジャヌージ
1997~2012年、米国上院外交委員会東アジアおよび太平洋地域担当の政策部長として、同委員会委員長のバイデン氏やケリー氏に提言。 Photo by Kazutoshi Sumitomo

 大統領選の勝者が共和党であれ民主党であれ、米国の東アジア戦略に大きな差異はありません。ただ、外交政策にはプライオリティーがあります。

 オバマ政権の前半4年は、クリントン国務長官がアジア地域における「リバランス」を最優先課題として、後半の4年はケリー国務長官が中東問題を最優先課題として進めました。新大統領が何を最優先課題と位置付けるのかで、外交政策も変わってくるでしょう。

 現在、選挙戦ではクリントン氏もトランプ氏も共にTPPに反対の立場を取っています。しかしそれは選挙戦だから。大統領になればもっと実務的になります。

 思い出していただきたい。08年の大統領選でオバマ氏は、米韓FTAへの反対を表明していました。しかし大統領になったら合意書にサインしたでしょう。

 トランプ氏の国際法を無視した発言に不安を覚える人もいるかもしれません。そこで読者のために、米国政治の根本について説明しておきましょう。

 ご存じのように米国では、立法、行政、司法の三権が分立しており、大統領(行政)といえども、議会や裁判所のけん制によって勝手なことはできません。米国は大統領の権力を抑制する組織的制度を備えているのです。

 私には、クリントン氏やトランプ氏がどう考えているのかはっきりとは言えません。でもこれだけは言えます。大統領になった人物は、外交経験がなくても学び、適応していくものなのです。(談)

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