辞められてしまうことを恐れてはいけない

 教えること(ティーチング)の基本は「厳しく」です。

 正確に言うと、「愛情をもって厳しく」です。

 では、なぜ上司は若手社員に対して厳しく接することができないのでしょうか。

 その本当の理由は、パワハラの問題に発展することや360度評価による報復を恐れているからではなく、彼らに辞められてしまうことを恐れているからではないでしょうか。

 そして、元をただせば、本当は採用に失敗した人事部が悪いのに、いつの間にか彼らが辞めた原因は「管理者の管理能力の欠如」にすり替えられ、その責任を人事部から押しつけられてしまうことを恐れているからではないでしょうか。

 今や、大卒社員の3人に1人は、3年以内に最初に入った会社を辞めていると言われています。

 また、総務省統計局の調査によると、2001年(平成13年)以降、25~34歳の転職者数は毎年100万人を超えています。

 多くのビジネスリーダーが、若い社員に厳しく接することで、この数字に拍車をかけてしまうのではないかと不安に思っているのではないでしょうか。

 もちろん、最近の若い人たちは厳しくされることに慣れていませんから、もし厳しくされたら、それが嫌で辞めていく人たちもいるでしょう。

 ただ、このパターンで辞めていく社員は、もともと長くは続きません。早いか遅いかの違いはありますが、いずれ辞めていくでしょう。早く辞めてもらったほうが、お互いの幸せになります。本人にとっても、会社にとってもいいことです。

 逆に、次のようなパターンで辞めていく社員も多いのが事実です。

 構ってもらえない(怒られない、厳しくされない、いじってもらえない、教えてもらえない)ことを、自分たちに対する無関心の表れと捉え、自分たちはこの会社に必要な人物ではないと思い始め、最終的には「居場所がない」と感じ会社を去っていくのです。

 厳しくしたら、本当に彼らは会社を辞めてしまうのでしょうか。

 この問いに対して、正解はないとは思いますが、私はノーと言いたいです。

 ゴールデンエイジの特徴のひとつに、「一生に1回しか訪れない」が挙げられます。これは、悪い情報になりますが、その反対によい情報もあります。