リクルートを創業し
大企業に育てた江副浩正

リクルート創業の江副浩正リクルート創業の江副浩正 Photo:SANKEI

 兵庫県芦屋市にある中高一貫の私立6年制だ。阪神間の裕福な家庭の男子が通う、いわゆる「おぼっちゃん」の学園として知られてきた。

 政官財マスコミを巻き込み、戦後の日本において最大の贈収賄事件、ひいては最大の企業犯罪といわれるリクルート事件が、1988年から89年にかけて世間を騒がせた。その発端になった就職・住宅情報の大手リクルートを創業したのが、甲南高校出身の江副浩正(えぞえ・ひろまさ)だ。

 リクルートが値上がり確実な関連子会社の未公開株を賄賂として要路に譲渡、当時の竹下内閣は総辞職に追い込まれた。自民党に対する不信感は頂点に達した、というのがリクルート事件だった。

 江副は、東京大教育学部に進学、東大新聞で企業広告を開拓した。その延長でリクルートを起業し、求人広告という新業態を確立した。一代で大企業に育て上げ、江副は東大出身者で最も成功したベンチャー経営者、と言われた。

 江副は89年2月に贈賄容疑で逮捕された。東京地裁での公判回数は322回に及んだ。2003年に東京地裁において懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を受け、被告人・検察とも控訴せず同判決は確定した。

 92年に、ダイエー(現イオングループ)がリクルート株の約10%を取得して傘下に収めた。同株を売却した江副は約400億円の売却益を得た。江副はその後、リクルートの経営から離れ、株式投資に精を出した。13年2月に76歳で死去した。