アーケード業界の雄であり、かつては家庭用ゲーム機市場でも「セガサターン」などの自社ゲーム機を擁し、任天堂やソニーと並ぶ、三大ハードメーカーの一角として存在感を示してきたセガ。いくども倒産の危機を迎えるも、潜在的開発能力の高さと、国際的な知名度を持つセガに魅入られた様々な同業他社が、幾度となく"求婚"するほどの人気ぶりだった。その人気者も、6年前にパチンコ業界大手のサミーと経営統合、すっかり落ち着いたようにも見えるが、現状はどうなのか。セガの今を追う。

 本題に入る前に、ゲーム関連業界各社の2011年3月期第1四半期決算から、現在の業界の状況を見ておこう。

 全体的な状況としては、コーエーテクモを除けばおおむね順調だ。バンダイナムコは、ゲームを中心とするコンテンツ部門は回復が遅れているが、子会社バンダイを中心とするトイホビー部門が41億円の利益を計上するなど好調で、今決算に大きく貢献した。

 好調さが際立つのがスクウェア・エニックスだ。「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」など、大ヒットタイトルを抱えている一方、業績に波ができやすいのが弱点だった。ところが、最近は大ヒットタイトル以外でも、「鋼の錬金術師」などの人気自社IP(知的財産)を出版事業やライツ・プロパティ事業、モバイル・コンテンツ事業に自社内で水平展開するビジネスが堅調に推移しており、大ヒットタイトルに振り回されない堅実な経営基盤形成を目指している様子が伺える。

 任天堂は、円高の進行に伴い705億円の為替差損が発生し、最終損益が252億円の赤字になって話題を集めた。年末に「ニンテンドー3DS」の発売を控え、DSの買い控えがおきているという指摘もあるが、それよりも欧州を含む地域でのDS用ソフトウェアの売上本数が減少している方が気になる。前年同期比で約400万本も下がっているためだ。9月18日発売予定の完全新作「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」(ニンテンドーDS用)が、欧州の不振をどこまで埋められるか注目だ。

 カプコンは大幅赤字になってはいるが、これは大型タイトルの販売時期の計画変更もあり、この数字だけで単純判断はできない。こちらも、年末に控えている「モンスターハンターポータブル3rd」(プレイステーション・ポータブル用)の結果を待ちたいところだ。

 そして本題のセガだが、親会社セガサミーはパチンコ・パチスロ事業が昨年に引き続き好調で、赤字だった前年同期から大きく復活した。昨年同期の赤字決算の一因だった、アミューズメント事業も、「初音ミク Project DIVA Arcade」、「ボーダーブレイク」等が好調で、営業利益が約14億円の黒字決算となっている。