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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

日本では当面厳しい「フィンテック」の普及

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第36回】 2016年5月25日
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 実はフィンテックというものは、金融業界が新しいITを導入(活用)することに過ぎず、振り返ってみると金融の進化の歴史そのものである。だから特に取り立てて騒ぐ必要はないと考えている。

 現在、フィンテックに従事するのは金融関係以外のIT系出身者が中心となってようで、考え方としては、送金は「E-mail」、業務のベースは「Web」の発展形といえる。そのため金融に必須の“法規制”や重要な“信用”への意識が、金融機関ほどには高くないような観がある。海外を見れば、破綻したり、金融当局から指導を受けるフィンテック企業も出てくるなど、様々なことが起こっている。

 現在はフィンテックという言葉ばかりが目立っているが、逆に言えばフィンテックが金融で実用化されて、フィンテックという“言葉”が無くなった時こそ、フィンテックが本当に成功した時なのではないか。

 筆者は金融機関の企画部門でも長く働いてきたが、今回は、フィンテックについて整理し、金融機関の「企画書」のようなスタイルで検討してみたい。

 ここでは、よく見る(英語名の)フィンテック企業一覧までは書かないが、フィンテック分野の主たる金融商品を、(1)金融サービス、(2)付加価値サービス、(3)仮想通貨と3つに分類して考える。

(1)金融サービス

 これは金融機関の業務と重なる部分で、一部では「Neo Bank(ネオバンク)」と呼ばれている部分である。金融(銀行)業務は、基本的には「銀行法」などで規定されているが、為替業務等は「資金決済法」などで銀行以外でも一部が可能になっている。また日本でも海外でも、法律・規制で厳重に規定されている。

 まず、送金や決済について考えてみよう。実はフィンテックはこの送金・決済分野からスタートし、いわゆるフィンテックの6割以上を占めている。有名なフィンテック企業も元を辿れば、15年以上も前にこの分野でスタートしている。たとえばPayPal(ペイパル/米国)は1998年、Alipay(アリペイ:支付宝/中国)は2005年、M-Pesa(エムペサ/ケニア)は2010年、Bitcoin(ビットコイン)は2009年から営業している。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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連絡先: info@shukuwa.jp

 


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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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