ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

金融機関が殺到する仮想通貨技術「ブロックチェーン」の現在

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第60回】 2016年4月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 フィンテックでもっとも重要と考えられているのは、ブロックチェーン技術の応用だ。これは、ビットコインなどの仮想通貨の基礎技術である。

 仮想通貨にとどまらず、広い応用範囲を持つ。それが、金融業務、さらにはビジネス全般に革命的な変化をもたらすと認識され始めた。

 とくにこの数ヵ月、雪崩現象といってよいほどの急激な動きが見られる。まだ実験段階であり、実際のビジネスに影響を与えているわけではないが、金融産業が将来大きく変わることを予感させる。

インターネット並みに世界を変える
中央集権的な管理者なしのブロックチェーン

 もしも、経済的な価値を仲介者なしに地球上の任意の相手に送ることができれば、世界は大きく変わるだろう。そのことがいま、ブロックチェーン技術によって実現されようとしているのである。

 これは、情報の通信においてインターネットが登場したことと似ている。それまでの情報通信は電話や郵便のように中央集権的な管理機関が存在し、情報伝達を仲介するする役割を担っていた。そのため、コストがかかる仕組みであった。ところがインターネットによって、この状況が大きく変わった。インターネットには中央集権的な管理機関が存在せず、情報を世界中の誰にでも直接送れる。このため、コストが著しく低下した。

 マネーなどの経済的な価値の移転について言えば、これまでは銀行などの中央集権的な管理主体が仲介を行なっていた。このために多大のコストがかかっていた。ブロックチェーンは、中央集権的な管理者なしに経済的価値の移転を可能にすることによって、経済活動に大きな変化をもたらすのである。

 ロンドンに本拠地を持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、「ブロックチェーン技術の意味はきわめて深遠なので、その応用によって、われわれが知っている形のビジネスは革命的に変わるだろう」と述べている。

不正な取引等をチェックする
「公開台帳」という仕組み

 ブロックチェーンはまったく斬新なアイディアなので、最初はきわめてわかりにくい。

 これまでであれば、すべての取引を中央集権的な管理主体が管理する。そして誤った取引や不正な取引がないことをチェックする。このために、大変な人力とコンピュータサービスが必要になる

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

⇒バックナンバー一覧