ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
シリコンバレーで考える 安藤茂彌

日本がGDP第3位から挽回するには「第3の維新」が必要だ

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第35回】 2010年8月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今年第2四半期のGDPで見ると、日本は中国に抜かれて世界第3位の経済国になった。日本は過去40年間の長きに渡って世界第2位の経済大国であった。40年前に中国のGDPは存在感すらなかった。5年前でも中国のGDPは日本の半分であった。なぜこんな短期間に日本は中国に抜かれたのか。世界はこの逆転劇を驚きの眼で見ている。

 メディアの取り上げ方も様々である。中国の躍進振りを脅威の目で見る記事もあれば、中国がこのまま一直線に経済成長することはありえないとする記事もある。他方で、日本の転落原因に焦点を当てた記事もある。

 ニューヨーク・タイムズは中国の躍進ぶりを脅威と見て報道している。中国は近年、英国、フランス、ドイツを追い越し、ついには日本をも追い越すことになった。一人当たりGDPで見ると、中国は3,600ドルでアルジェリア、エル・サルバドルと肩を並べる後進国の水準である。(因みに、米国は46,000ドル、日本は39,700ドル)。

 だが、このことは成長の余地を限りなく残していることを意味する。米国・欧州が金融危機の影響で成長率を落す中で、中国は今年も10%の経済成長を予測している。中国がこのペースで成長を続ければ、2030年には米国も追い越して世界最大の経済大国になる可能性がある。

 一方で懸念される点もいくつかある。中国は石油、石炭、鉄鉱石や希少金属を世界的規模で買い占める目的で、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国と緊密な経済関係を樹立し、米国、欧州と熾烈な競争になっている。中国は世界最大の二酸化炭素排出国であるにもかかわらず、地球温暖化対策には渋々取り組んでいる。

 中国の成長に懐疑的な見方をしているのは北京大学光華管理学院(ビジネススクールに相当)の准教授Michael Pettisである。同教授は最近「中国のGDPの急増は日本の80年代に似ている」と題する論文を発表した。その中で次のように述べている。

 日本は投資に重点をおいた経済成長を追求し、世界のGDPに占める日本の比率は1970年の7%から1990年には18%になった。90年以降、世界のGDPは拡大したにもかかわらず日本は足踏みしたため、シェアは急速に低下した。そしてたった8%のシェアしかない中国に追いつかれてしまった。これは借金を膨らませながら効果の少ない投資を永年続けたことが原因であった。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
IT&ビジネス
関連記事
クチコミ・コメント
facebookもチェック

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ


シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

「シリコンバレーで考える 安藤茂彌」

⇒バックナンバー一覧