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Think Locallyなイノベーションのなかの日本

日本企業の視察が殺到するSAPシリコンバレーには何があるのか

鈴木智之 [スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員、三菱総合研究所研究員]
【第4回】 2016年5月31日
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シリコンバレーで成功をおさめるのは現地のスタートアップだけではない。デザイン・シンキングを企業文化に取り入れたドイツ企業のSAPは、シリコンバレーの有名テクノロジー企業と肩を並べる戦う外国企業の成功例のひとつであり、多くの日本企業が視察に訪れる。一方、ドイツ政府は同国内において、リサーチ・キャンパスという新たなイノベーション施策を始めている。シリコンバレーの内外で模索を続ける、ドイツの取り組みとは──。

SAPの業績が急伸した、
あるコンセプトとは?

 日本企業のエグゼクティブが毎週のように訪れ、称賛を惜しまない企業がある。それはシリコンバレーで生まれ育った著名な元スタートアップ、ではなく、1972年創業のドイツ企業SAPだ。同社は2004年から、あるコンセプトを企業文化として導入し、直近5年間で全世界の売り上げを1.4兆円から2.7兆円へ、一気に2倍へと伸ばした。そのコンセプトとは、近年日本でも注目を集める“デザイン・シンキング”だ。

 デザイン・シンキングは、「共感」をキーワードに潜在的なニーズを掘り起こし、さまざまなプロトタイピングを通じて課題とソリューションを検証する手法である。製品やサービスを提供する側が一方的なソリューションをユーザーに押し付けるのではなく、ユーザーと一緒にニーズを深掘りし、ソリューションを作っていく。この手法は、初期のPC用マウスやノートパソコンの設計などから、医療機器などにまで幅広く適用されてきた。

 その殿堂として有名なのが、スタンフォード大学のd.schoolだ。デザイン・シンキングの最先端が学べるだけでなく、さまざまな専門の大学・大学院の学生が混ざり合って学ぶというスタイルの面白さもあって、人気の名物授業を数多く提供している。しかし、実はこのd.school設立のきっかけがスタンフォード大学でも米国企業でもなく、ドイツ企業のSAPだということは意外と知られていない。

 d.schoolはSAP創業者の1人であるHasso Plattner氏が個人で$35M(約39億円)を寄付し、IDEO創業者のDavid Kelly氏らとともに2005年に設立された。飛行機で読んだ雑誌でデザイン・シンキングのことを知ったHasso Plattner氏が、空港へ降りてすぐDavid Kelly氏に電話をしたことが、最初のきっかけだったという。

ドイツ企業であるSAP社シリコンバレー・オフィスの様子(写真提供:SAP)

 それから12年、デザイン・シンキングを企業文化だけでなく、顧客の課題発見・解決に対するアプローチの手法としても完全に定着させたSAPは売り上げを大きく伸ばした。約4000名の従業員数はシリコンバレーにあるテクノロジー系の外国企業の中では最大である。その規模と勢いはまさに、デザイン・シンキングの総本山とも言えるものになっている。

 SAPのオフィスを訪れると、建物だけでなくその活用も含めて、全体を貫くデザイン・シンキングの思想を体感することができる。どの壁も、アイデアが書かれたポストイットやイラスト、写真などでいっぱいだ。単なる社員教育に終わらず飛躍的な実績をあげたその秘密を垣間見ようと、日本企業からの視察が絶えない。注目が集まる理由について、SAP米国支社の小松原氏は次のように語る。

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鈴木智之 [スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員、三菱総合研究所研究員]

スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員。三菱総合研究所研究員。Kizuna Across Cultures(米国NPO)日本ディレクター。慶応義塾大学理工学研究科修士。新規事業開発/リスクマネジメントのコンサルタントとして、製造、金融、商社、インフラなど幅広い企業を支援。現在は同大学にてスタートアップの成長プロセス、医療・ヘルスケア領域のイノベーションを研究。

 


Think Locallyなイノベーションのなかの日本

シリコンバレーをはじめとする海外からみた日本のイノベーションの課題と方策について、スタンフォード大学での研究活動などを踏まえ論じる。Think Locally, Act Globallyのイノベーションにおいて、外国のローカルのなかで日本はどのような存在なのか。イノベーションを育む多様性と融合のあり方を考察する。

「Think Locallyなイノベーションのなかの日本」

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