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吉田恒のデータが語る為替の法則

日銀が円高に対し無力な真の理由とは?
カギは「米国債バブル」の破裂にあり!

吉田 恒
【第95回】 2010年9月1日
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 日銀の追加緩和決定でも円高が止まりません。ただ、日銀に円高転換を期待することのほうが、そもそもムリなのではないでしょうか?

 それでは、円高がもう止まらないのかと言えば、そうでもなさそうです。円高転換の「兆し」が出てきたと思います。

米ドル/円の転換のカギは「米国債バブル」の破裂か?

 8月27日(金)のNY市場で、一時84円台から85円台へと大きく「円安・米ドル高」への反動が入りました。これは、米ドル/円と連動性の強い米国の金利が急反発した影響が大きかったと思います。

 下のグラフは米ドル/円と米国の長期金利のグラフを重ねたものですが、これを見ると、この間の対円での米ドルの下落が、米国の長期金利低下と連動してきたことがよくわかります。

 つまり「米ドル安・円高」は、日本政府・日銀の対応が鈍かったからというのではなく、米国の金利が低下したためということになります。

 そうであれば、「米ドル安・円高」が止まるかどうかは、日本政府・日銀の対応ではなく、米国の金利低下が止まるか否かがカギということになるでしょう。

 さて、その米国の長期金利ですが、一時2.5%を割り込むまで低下する中で、90日移動平均線からのカイ離率がマイナス20%以上に拡大してきています。

 90日移動平均線からのカイ離率がマイナス20%以上に拡大したのは、過去30年間で3回しかありませんでした。

 その意味では、今回の米国の長期金利低下は「10年に一度あるかないか」というぐらい、異例の下がり過ぎだった可能性がありそうです。

 つまり、「バブル」と言い換えても過言ではなく、そういった下がり過ぎの中で、27日に米国の長期金利は急反発に転じました。これは米国債の「バブル破裂」が始まった可能性があるのではないでしょうか?

巨額の財政赤字でも米国債が買われているが…

 このような米国金利の下がり過ぎ、債券価格の上がり過ぎといった「バブル」を演出したのは、前回のコラムで書いた日本の銀行の米国債買いが大きな役割を果たしていたと思います(「なぜ、円高になっているのか?円高の『主犯』は日本の銀行だ!」を参照)。

 その半面、米国人、たとえばヘッジファンドのような投機筋は、8月初めまではむしろ、正反対の「売り」に回っていたようでした。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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